飲食店版

補助金の使い分け: 投資額と目的で候補は2つに絞れる

2026年10月7日更新 / 飲食店主向けガイド

ナビコッコ
「どの補助金がいいか」を考える前に、答えておきたい質問が3つあります。いくら使いますか、何のために使いますか、いつまでに要りますか。この3つが決まると、候補はだいたい1つか2つに絞れます。制度を先に選ぶから迷うので、投資の中身を先に決めるほうが早いんです。

「どの補助金を使えばいいか」と迷ったら、制度名を調べる前に3つの問いに答えましょう。いくら使うのか、何のために使うのか、いつまでに要るのか。この3つが決まれば、候補は自然に1〜2つへ絞れます。制度から選ぼうとするから迷うのであって、投資の中身から選べば早いのです。この記事では、国の主要4制度を5つの選択肢に分けて4つの軸で比べ、判断のフローまで示します。補助率・上限・枠の構成は公募回ごとに変わるため、金額は目安として読み、最終確認は公募要領で行いましょう。

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主要4制度・5つの選択肢を1枚で比べる

制度主な目的投資額の目安手続きの重さ準備期間
小規模事業者持続化補助金販路開拓(集客・売上を伸ばす)数十万〜100万円台軽い(商工会議所の支援あり)3〜4週間
新事業進出・ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)革新的な新製品・新サービスの開発(プロセス改善だけ・設備を入れるだけは対象外)数百万〜数千万円(補助下限100万円)重い(事業計画の作り込み)1〜3ヶ月
デジタル化・AI導入補助金(旧デジタル化・AI導入補助金)ソフト・システムの導入数十万〜数百万円中(登録ツールから選ぶ)3〜6週間
省力化投資補助金人手不足を機械・自動化で解く数百万〜数千万円中〜重(カタログ型は軽い)1〜2ヶ月
新事業進出・ものづくり補助金(新事業進出枠)新市場・新業態への進出1,500万円以上(補助下限750万円・補助率1/2)重い1〜3ヶ月

2026年から、ものづくり補助金と中小企業新事業進出補助金は「新事業進出・ものづくり補助金」として一体で運用されています。旧ものづくり補助金の公募は23次(2026年5月8日締切)が最後で、新事業進出補助金も新規の受付は新制度へ移りました。この記事では新制度の2つの枠を分けて並べています。

投資の中身から逆引きする

やりたいこと第一候補第二候補
看板・チラシ・ホームページで集客したい持続化補助金自治体の販路開拓支援
店内を改装したい(席数・動線)持続化補助金(小規模)自治体の改装補助。業態転換を伴うなら新事業進出・ものづくり補助金の新事業進出枠(建物費を対象にできるのはこの枠など)
POSレジ・予約システムを入れたいデジタル化・AI導入補助金持続化補助金(販路開拓と結びつく場合)
厨房機器を入れ替えて生産性を上げたい省力化投資補助金(人手不足が主眼なら)新事業進出・ものづくり補助金(新商品・新サービスの開発を伴う場合。入れ替えだけは対象外)
食洗機・自動調理機で人手を減らしたい省力化投資補助金業務改善助成金(事業場内最低賃金の引き上げと組み合わせる場合)
冷凍食品の製造・EC販売を始めたい新事業進出・ものづくり補助金(新事業進出枠)同じ制度の革新的新製品・サービス枠
省エネ設備で電気代を下げたい省エネ・脱炭素系の補助自治体の省エネ補助
賃上げと同時に設備を入れたい業務改善助成金新事業進出・ものづくり補助金(賃上げ特例で上限が上がる)

「補助金があるから何か買おう」と思っていませんか。順番が逆になると、使わない設備が残ります。投資の必要性が先、制度は後。この順番を守るだけで、失敗はほとんど防げます。

迷ったときの判断フロー

  1. 投資額はいくらか: 100万円未満 → 持続化補助金/自治体制度。100万円以上 → 次へ
  2. 主眼は何か: 人手不足の解消 → 省力化投資。新製品・新サービスの開発 → 新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠。業態転換 → 同じ制度の新事業進出枠(補助下限750万円)。ソフト中心 → デジタル化・AI導入
  3. いつまでに必要か: 3ヶ月以内に導入したい → 公募スケジュールを確認。間に合わないなら自治体制度か融資で先行し、次回に別の投資で申請
  4. 自己資金は足りるか: 補助金は後払い。投資額の全額を用意できるか、つなぎ融資を組めるかを確認
  5. 加点は取れるか: 事業継続力強化計画・賃上げ表明・パートナーシップ構築宣言など、間に合うものは先に取る(加点項目のカタログ)

手続きの重さを数字で比べる

作業持続化新事業進出・ものづくり
事業計画の分量数ページ十数ページ以上
必要な事前手続きgBizID、商工会議所の様式4gBizID、加点の認定(1〜2ヶ月)
見積の要件見積書(一定額以上は相見積もり)相見積もり必須、特注品は価格根拠
採択後の報告実績報告実績報告+事業化状況報告(5年間で計6回)
作業時間の実感10〜20時間40〜100時間

大型の制度は金額が大きい分、採択後の義務も長く続きます。事業化状況報告、財産処分の制限、賃上げ要件の達成。新事業進出・ものづくり補助金では、付加価値額を年平均4.0%以上、1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上伸ばし、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高く保つ計画が要件です。これらを続けられる体制かどうかも、選択の基準に入れましょう(財産処分の制限、賃上げ要件のガイド)。

併用の考え方

「複数の補助金を同時にもらえますか」という質問への答えは、経費を分ければ可能なことが多いです。

ケース可否考え方
同じ厨房機器に2つの補助金不可同一経費への二重取りは原則禁止
新商品用の厨房機器は新事業進出・ものづくり、看板は持続化可能な場合が多い経費を明確に分ける。事業計画も分ける
国の補助金+自治体の上乗せ制度による「国の制度の活用を条件に上乗せ」型は併用前提。要領で確認
補助金+融資可能むしろ標準的な組み合わせ(後払いのつなぎ)
補助金+税制優遇制度による圧縮記帳との関係を税理士に確認(補助金と税務)

投資額別の実質負担シミュレーション

投資額使う制度(例)補助率補助額実質負担先に必要な現金
60万円(看板・チラシ30万円+客席の改装30万円)持続化補助金2/340万円20万円60万円
150万円(POS+予約システム)デジタル化・AI導入補助金1/275万円75万円150万円
800万円(新商品開発のための厨房設備)新事業進出・ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)1/2400万円400万円800万円
1,200万円(自動調理・食洗の自動化)省力化投資補助金1/2600万円600万円1,200万円
2,000万円(冷凍食品の製造ライン)新事業進出・ものづくり補助金(新事業進出枠)1/21,000万円1,000万円2,000万円

この表の右端が、見落とされがちで最も重要な列です。補助率がいくらであっても、支払い時には全額が必要。800万円の設備に400万円の補助が出るとしても、まず800万円を用意できなければ話が始まりません。制度を選ぶ前に、この列を自社の資金力と照らし合わせましょう(立替資金のガイド)。

表の補助額は、各制度の上限に収まる前提の計算です。持続化補助金の第20回は、広報費(看板・チラシなど)とウェブサイト関連費の補助申請額がそれぞれ30万円までで、どちらも単独では申請できません。60万円の例で看板・チラシと改装を分けているのはそのためです。新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠は、小規模事業者なら補助率が2/3になり、800万円の例の補助額は約533万円に増えます。省力化投資補助金のカタログ注文型は従業員数で上限が変わり、5人以下の店は500万円(賃上げ特例で750万円)です。1,200万円の例の600万円は、6人以上の店で成り立つ計算です。

選ばないという選択

最後に、あえて書いておきます。補助金を使わないほうがいい場面もあります。

  • 今すぐ必要な設備: 壊れた冷蔵庫の買い替えを公募まで待つのは本末転倒です。自治体の小規模な制度か、融資で先に手当てしましょう
  • 資金繰りが厳しいとき: 補助金は後払いで、全額を先に払う必要があります。手元資金が薄いときは融資が先です
  • 要件を満たすために無理をするとき: 賃上げ要件や事業化報告が重荷になるなら、規模の小さい制度を選ぶほうが健全です

実務チェックリスト

  • ☐ 投資の目的(集客・生産性・省力化・業態転換)を1つに絞って言語化した
  • ☐ 投資額の総額(本体+工事+付帯費用)を見積もった
  • ☐ 導入したい時期から逆算し、公募スケジュールと合うか確認した
  • ☐ 投資額の全額を先に支払える資金(自己資金+つなぎ融資)を確認した
  • ☐ gBizIDプライムを取得済み(郵送申請なら最大1か月を見込む)
  • ☐ 候補制度を2つに絞り、それぞれの補助率・上限・対象経費を公募要領で確認した
  • ☐ 加点項目で間に合うものを洗い出し、先に取得を始めた
  • ☐ 採択後の義務(実績報告・事業化状況報告・財産処分制限)を確認した
  • ☐ 併用を狙う場合、経費の割り当てを制度ごとに分けた
  • ☐ 税制優遇との併用可否を税理士に確認した
  • ☐ 「今回は見送る」という選択肢も検討した

結論: 制度から選ばず、投資から選ぶ

補助金選びは、投資額・目的・時期の3つでほぼ決まります。100万円未満で集客なら持続化、人手不足なら省力化、新製品・新サービスの開発なら新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠、業態転換なら同じ制度の新事業進出枠、ソフトならデジタル化・AI導入。候補を2つに絞ったら、あとは補助率・対象経費・スケジュールを公募要領で突き合わせるだけです。金額・要件は公募回ごとに変わるため申請前に必ず確認し、募集中の公募回は下の一覧で毎朝チェックしましょう。

参考・出典

開業に使える制度は、どの地域に多いか

2026年10月19日時点で該当する235件を地域別に数えました。うち全国対象が31件で、これはどの地域の飲食店でも申請できます。残りは地域限定なので、自分の都道府県にあるかを先に見ましょう。

上限額が公表されている165件で見ると、中央値は200万円、最大は10億円です。下から4分の1は60万円以下なので、「小さく試す」規模の制度も含まれています。

直近の締切は中小企業等グループ補助金(東日本大震災)についての2026年10月23日(あと4日)です。締切の並びは締切間近の制度でまとめて確認しましょう。

よくある質問

Q. 結局どの補助金を使えばいいですか?

A. 投資の目的と金額で決まります。数十万円の販促・小規模な改装なら持続化補助金、新製品・新サービスの開発なら新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠、ソフトやシステムならデジタル化・AI導入補助金、人手不足を機械で解消するなら省力化投資補助金、業態そのものを変えるなら同じ制度の新事業進出枠(補助下限750万円)が基本線です。

Q. 同じ設備で複数の補助金に申請できますか?

A. 同時に複数へ申請すること自体を禁じていない制度もありますが、<strong>同じ経費に複数の補助金を充てる二重取りはできません</strong>。採択されたらどちらかを辞退することになります。経費を分けて別々の制度に割り当てる設計なら併用できる場合があります。

Q. 採択されやすいのはどれですか?

A. 一般に、金額が小さく手続きが軽い制度ほど採択率は高くなる傾向があります。持続化補助金は比較的通りやすく、大型の制度ほど計画の作り込みが求められます。ただし公募回ごとに応募状況が変わるため、確率だけで選ぶのは危険です。

Q. 準備期間はどのくらい必要ですか?

A. 持続化補助金なら3〜4週間(商工会議所の様式取得を含む)、新事業進出・ものづくり補助金や省力化投資補助金は1〜3ヶ月が目安です。いずれもgBizIDプライムが要ります(オンライン申請なら最短即日ですが、郵送だと審査に最大1か月)。公募を待たずに取っておきましょう。

Q. 小さな店でも大型の補助金を狙えますか?

A. 狙えますが、大型の制度は事業計画の作り込みと自己資金の負担が大きくなります。設備代金は先に全額支払う必要があるため、投資額が資金力に見合うかを先に確認しましょう。まず持続化補助金で実績を作り、次に大型へ進む道筋も現実的です。

Q. 税制優遇との使い分けは?

A. 補助金は現金が戻る一方で公募と審査があり、税制優遇は要件を満たせば確実に適用されますが、利益が出ていないと効果が薄いという違いがあります。設備投資では両方の可否を確認し、併用できる場合は税理士に相談しましょう。

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公開 2026年8月29日 / 最終更新 2026年10月7日 / この記事は、公的機関が公開する一次資料をもとにホジョナビ編集部が作成したもので、執筆補助にAIを使用。金額・要件・締切は各制度の公募要領が常に優先。制作方針と情報源

更新履歴(2件)
  • gBizIDプライムの取得期間を「2週間前後」から、オンライン申請なら最短即日、郵送なら審査に最大1か月に修正
  • ものづくり補助金と新事業進出補助金を新制度「新事業進出・ものづくり補助金」の2枠に、IT導入補助金を「デジタル化・AI導入補助金」に更新、持続化補助金第20回の広報費上限を追記
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