飲食店版

小規模事業者持続化補助金:飲食店での使い方

2026年10月19日更新 / 定番制度の飲食店向け解説

ナビコッコ
窓口の商工会議所は「会員じゃないと相手にされない」と思われがちですが、非会員の相談も普通に受けてくれます。無料です。計画書の書き方のクセを教えてもらえるので、最初の1回は電話より窓口に行くのが近道です。

開業3年目、月商200万円。味には自信があるのに新規のお客さんが増えない。チラシを打ちたいが、デザインと印刷とポスティングで20万円。この出費を前に足が止まっている。そんな店のための制度が、これです。

数ある補助金の中で、個人経営の飲食店が最初に検討すべき定番。理由はシンプルで、「小規模事業者」(飲食店を含む商業・サービス業では常時使用する従業員5人以下)を主役に設計された、数少ない国の制度だからです。

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お金の実感:自己負担はいくらになるか

補助率・上限額は公募回ごとに変わるため、ここでは過去の回で多かった「補助率2/3」を例に計算します。

60万円の販路開拓(例:看板の掛け替え30万円+チラシ3万部20万円+ネット予約導入10万円)に取り組む場合、2/3の40万円が補助され、自己負担は20万円。ランチ営業に換算すると、客単価900円×25食×9日分の売上で回収できる投資規模まで下がります。この「本来ためらう投資が、ためらわない金額になる」のがこの制度の価値です。

ただし第20回の公募要領では、広報費(看板・チラシなど)とウェブサイト関連費の補助額にそれぞれ30万円の上限があり、どちらも単独では申請できません。この例の看板とチラシは広報費50万円にあたるので、第20回に当てはめると広報費の補助は約33万円でなく30万円で頭打ちになり、補助は合計で約37万円、自己負担は約23万円です。

ただし補助金は後払い。60万円は一度全額立て替えます。入金は実績報告の後、着手からだと半年〜10ヶ月先になるのが普通です。立替資金の準備は基礎ガイドで確認しましょう。

飲食店での典型的な使い方と費用相場

取り組み費用の相場観狙い
チラシ・ポスティング3万部で15〜25万円商圏1km内の認知。開店・改装の告知と相性◎
看板・ファサード改修30〜80万円前を通る人の入店率を変える。夜営業なら電飾も
ホームページ・ネット予約20〜60万円「店名検索→電話しかない」の取りこぼし対策
テイクアウト・EC対応包材・什器・売場改修で10〜40万円ランチ弁当・物販という第二の売上列
販路開拓に伴う店内改装50〜150万円客席レイアウト変更・個室化など「新しい客層」文脈で

共通するキーワードは「販路開拓」=新しいお客様を獲得する取り組み。逆に、家賃・仕入れ・人件費のような日常の運転資金には使えません。ここを混ぜた計画書は審査で落ちます。

「うちみたいな小さい店は無理」: 一番多い誤解

逆です。この制度は大企業も中堅企業も応募できません。従業員5人以下の店だけで競う制度です。夫婦2人の店も1人営業のバーも、この制度がまさに対象にしている店です。

相談先の補足を一つ。窓口は地域によって「商工会議所」か「商工会」のどちらかに決まっています(おおむね市の中心部は商工会議所、町村部は商工会)。「(あなたの市区町村名) 商工会議所」で検索して出てきた方が、あなたの店の窓口です。

もう一つの誤解が「計画書なんて書けない」。実物は様式数枚で、問われるのは「誰に・何を・どう売るか」を自分の言葉で書けるかだけです。「常連の年配客が中心で、近隣の新築マンション世帯を取り込めていない。だからファミリー向けメニューを開発し、ポスティングで告知する」くらいの具体さがあれば、十分に通用します。むしろ美辞麗句を並べた借り物の文章の方が通りません。

申請から入金までの時間軸

時期やること
締切1ヶ月前商工会議所・商工会に相談予約、計画書の下書き
締切2週間前窓口確認を受け、様式(事業支援計画書)を発行してもらう
締切電子申請(gBizIDプライムが必要。取得に時間がかかるので先に)
2〜3ヶ月後採択発表 → 交付決定
その後半年前後取り組み実施(発注・支払いは交付決定後)→ 実績報告
報告の1〜2ヶ月後入金

最大の落とし穴は表の5行目です。交付決定前に発注・契約したものは1円も対象になりません。「採択された!」の勢いで看板屋に電話してしまうのが、よくある失敗の代表です。詳しくは申請の流れへ。

採択される計画書・落ちる計画書

審査員は多くの計画書を限られた時間で読みます。短い時間で伝わる計画書には共通点があります。

  • 現状を数字で語っている。「客数が減った」ではなく「ランチ回転が1.8回→1.3回に落ちた。原因は近隣オフィスの移転で、平日昼の会社員客が3割減ったこと」。数字と因果があるだけで、説得力がまったく違ってきます
  • ターゲットが具体的。「幅広い客層」は禁句です。「駅徒歩5分圏に3棟建った新築マンションの30代ファミリー」まで絞って初めて、施策(ファミリー向けメニュー+ポスティング)が当然の選択に見えます
  • 取り組みと売上の因果が繋がっている。チラシ3万部→反応率0.3%で90組来店→客単価3,500円×平均2.2名で年70万円の売上増、のように「なぜこの投資で売上が伸びるのか」の算段を式で示します

落ちる計画書は逆です。誰にでも当てはまる美辞麗句、経費の羅列、販路開拓ではなく単なる設備更新。とくに「厨房機器を新しくして効率化」だけの計画は販路開拓の文脈が無いため、採択は厳しくなります。設備が主目的なら業務改善助成金や自治体の設備補助の方が自然です。

特例と加点、創業型の存在も知っておく

第20回の一般型(通常枠)には、創業枠のような別枠はありません。補助上限は50万円で、インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされます(両方満たせば200万円の上乗せ)。賃上げ・事業承継・地域資源の活用などは、枠ではなく審査の加点として扱われます。

開業して間もない店には、別制度の創業型(第4回)があります。上限200万円(インボイス特例で50万円上乗せ)・補助率2/3で、市区町村などが行う「特定創業支援等事業」の支援を受けた日と開業日が、どちらも公募締切から過去1年以内であることが条件です。一般型との同時申請はできないので、どちらで出すかを先に決めましょう。開業3年目の店は創業型の対象外なので、一般型で出すことになります。特例や加点は回ごとに変わる部分なので、本ページ下部の公募状況から最新の要領に当たりましょう。

申請前チェックリスト

  • 従業員は5人以下か(パート・アルバイトのカウント方法は公募要領の定義で確認。「常時使用」の解釈に注意)
  • gBizIDプライムを取得済みか(未取得なら今日申請。数日〜2週間かかります)
  • 商工会議所の相談予約を入れたか(締切直前は窓口が混みます)
  • 取り組みの見積もりを取ったか(計画書の経費欄は見積もりベースで書く)
  • 全額立て替えられる資金があるか(無ければ立替資金ガイドのつなぎ融資も視野に)
  • 実績報告用の証憑(領収書・振込記録・成果物の写真)を残す段取りを決めたか
  • 公募要領の最新版を読んだか(年度・回で枠も上限も変わります。古いブログ記事を鵜呑みにしないのが鉄則)

実績報告でつまずかない

採択はゴールではありません。実績報告が通って初めて入金されます。ここで慌てないための証憑ルールは3つ。

  • お金の流れを紙で残す。見積書→発注書→納品書→請求書→振込記録の一式。現金払いは避け、銀行振込で通帳に記録を残すのが安全です
  • 成果物を写真で残す。納品された看板、配布前のチラシの現物、設置後の店頭。「作った証拠」は後から撮れないものが多いので、その場で撮る習慣をつけましょう
  • 按分に注意。私用と兼ねるもの(例:自宅兼店舗の改修)は対象外や按分になります。迷う経費は使う前に事務局へ照会しましょう。事後の「知らなかった」は通りません

結論として、小さい飲食店の「最初の一歩」はこの制度が定番です。今日できることは、gBizIDプライムの申請と、商工会議所への相談予約の電話の2つです。どちらも無料で、合わせて30分もかかりません。下の公募状況で募集中の回を確認して、そこから始めましょう。

参考・出典

現在の公募状況

2026年10月19日時点で、この制度の募集中の公募回はデータベースにありません。新しい公募が始まれば毎朝の自動巡回でここに掲載されます。新着ページもあわせてご確認ください。

開業に使える制度は、どの地域に多いか

2026年10月19日時点で該当する71件を地域別に数えました。うち全国対象が7件で、これはどの地域の飲食店でも申請できます。残りは地域限定なので、自分の都道府県にあるかを先に見ましょう。

上限額が公表されている45件で見ると、中央値は100万円、最大は5億円です。下から4分の1は30万円以下なので、「小さく試す」規模の制度も含まれています。

直近の締切は【募集期間延長】「さかいでからはじめる創業支援補助金」の募集…の2026年10月30日(あと11日)です。締切の並びは締切間近の制度でまとめて確認しましょう。

よくある質問

Q. 個人事業主の飲食店でも対象になりますか?

A. はい。むしろ小規模事業者(飲食店などの商業・サービス業では常時使用する従業員5人以下)が対象の制度なので、個人経営の飲食店は中心的な対象者です。

Q. 何に使えますか?

A. 販路開拓(新しいお客様を獲得する取り組み)が軸です。チラシ・看板・ホームページ・ネット予約システム・新メニュー開発に伴う設備などが典型例です。家賃や仕入れ、人件費のような経常経費には使えません。

Q. 申請には何が必要ですか?

A. 経営計画書・補助事業計画書の作成が中心で、地域の商工会議所・商工会の確認(様式の発行)を受けるのが特徴です。窓口の予約から様式発行まで日数がかかるため、締切の1ヶ月前には最初の相談を済ませるのが定石です。

Q. 採択率はどのくらいですか?

A. 公募回によって大きく変わります。最新の回の採択率は、事務局サイトで公表される採択結果で確かめましょう。計画書の質で差がつく制度なので、「出せば通る」でも「ほぼ落ちる」でもありません。

Q. 不採択になったらどうすればいいですか?

A. 公募は年に複数回あるので、次回に再挑戦できます。不採択でも計画書は資産として残り、書き直して通った例は珍しくありません。あわせて自治体の独自補助(当サイトの地域ページに掲載)も検討しましょう。

Q. 過去に採択されたことがあっても、また使えますか?

A. 一定の条件下で複数回の活用が可能ですが、直近の採択からの間隔や回数による減点・制限が設けられることがあります。2回目以降の申請は、公募要領の該当条項を必ず確認しましょう。

他の定番制度

公開 2026年7月19日 / 最終更新 2026年10月4日 / この記事は、公的機関が公開する一次資料をもとにホジョナビ編集部が作成したもので、執筆補助にAIを使用。金額・要件・締切は各制度の公募要領が常に優先。制作方針と情報源

更新履歴(1件)
  • 第20回の広報費の補助上限(30万円)を反映して看板・チラシ例の補助額を約37万円に修正、「創業枠」を別制度の創業型(第4回・上限200万円)に更新、参考・出典を追加
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