飲食店版

飲食店のリースvs購入:総額・税務・補助金の3点比較

2026年9月3日更新 / 飲食店主向けガイド

ナビコッコ
リース営業の「月々わずか◯円」と、補助金の「購入が原則」。この2つの間で迷う店主は多いのですが、判断は表を1枚書けば終わります。月々の軽さと総額と補助金——3つを同じ表に載せるだけです。

「月々たったの1万5,000円です」——リース営業の殺し文句と、「補助金は購入が原則です」という制度の建て付け。板挟みで迷ったら、この記事の表を書いてください。総額・税務・補助金の3点を同じ紙に載せれば、答えは自動的に出ます

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まず全体比較: 3つの調達方法

購入(現金・融資)リース中古購入
総支払額最安(融資でも金利は小さめ)現金価格の1.2〜1.4倍新品の3〜5割
初期資金必要(融資で平準化可)ほぼゼロ必要(少額)
税務減価償却(30万円未満は特例で即時償却可)リース料が経費購入と同じ+耐用年数短縮
補助金対象(原則)対象外が原則新品原則の制度では対象外が多い
途中でやめる売却できる(所有権がある)原則不可・残債一括売却できる

計算例: 100万円の厨房機器で比べる

  • 購入(補助金活用): 業務改善助成金等で仮に3/4助成なら実質25万円。7年使えば年3.6万円
  • 購入(自費・融資): 100万円+金利。7年で年約15万円
  • リース(7年): 月1.6万円×84回=総額134万円。年約19万円+途中解約不可の縛り
  • 差は最大で年15万円超。補助金の当てがあるかどうかが、この比較の最大変数です。だから設備計画は「買う前に公募を確認」が鉄則になります(下の募集中リストで確認を)

税務の要点: 「経費にしやすい」の正体

  • リース料=経費はその通りですが、購入側にも少額減価償却資産の特例(30万円未満・年合計300万円まで即時償却)があり、小型機器なら購入でも一括経費にできます
  • 30万円以上の機器は減価償却(厨房機器の法定耐用年数はおおむね5〜8年)。「数年に分けて経費」は不利ではなく、利益の平準化として働く年もあります
  • 消費税の扱い・固定資産税(償却資産)の申告など細部は税務ガイドと税理士で。節税の観点だけでリースを選ぶ理由は、特例のある現在ではかなり薄いというのが結論です

機器別の実務判断: 定番の使い分け

冷蔵庫・製氷機・食洗機長く使う定番設備=購入+補助金が本線。設備別記事に相場と制度
レジ・券売機・注文システム更新サイクルが速くソフト費込み=月額制(サブスク)やリースの合理性もある。POSの記事参照
コーヒーマシン等の専門機メンテ込みリース・レンタルに合理性。使いこなせるか不明な機器は「短期レンタル→購入」の二段構え
車両補助対象外が原則の買い物。リース(メンテ込み)と中古購入の総額比較で

営業トークの翻訳表

「月々わずか◯円」→ 総額いくらですか?(月額×回数を電卓で。現金価格との差が金利+手数料)
「経費で落とせます」→ 購入でも30万円未満は即時償却できます(特例の存在を知っている客には効かないトーク)
「審査が簡単です」→ 途中でやめられない契約です(解約不可の裏返し)
「みなさんリースですよ」→ 補助金を使う店は購入しています(「みなさん」は誰かを聞いてみましょう)
「メンテも安心」→ 保守の範囲を書面でください(部品・出張費・代替機の有無で「安心」の中身は別物)

リース会社が悪いわけではありません。資金繰りの平準化という真っ当な商品です。ただし営業トークは翻訳してから聞く——それだけで、この買い物の失敗の大半は消えます。

リース契約前の5つの確認

  1. リース料率と総額 — 月額×回数の総額を現金価格と並べる。差額が「金利+手数料」の正体です。差額を融資の金利と比べれば、どちらで平準化すべきかも見えます
  2. 中途解約の条件 — 閉店・移転時にいくら残るか。撤退のお金で見た通り、リース残債は閉店費用の隠れ費目です
  3. 保守の範囲 — 「メンテ込み」の中身(消耗品・出張費・代替機)を書面で。口頭の「大丈夫です」は事故の日に消えます
  4. 満了後の扱い — 再リース料・買取り・返却の条件。「返却時の原状回復・搬出費」が誰持ちかも見落としやすい項目です
  5. 補助金の予定 — 半年内に使いたい補助金があるなら、その設備はリース契約しないこと

第3の道: 月額サブスク・レンタルの位置づけ

最近は厨房機器やコーヒーマシン、POSまわりで「サブスク型」(月額・解約可・保守込み)の提供が増えています。リースとの違いは解約の自由度で、その分月額は割高になりがちです。使いどころは①新業態・新メニューの実験期間②繁忙期だけの増強③「使いこなせるか不明」な機器のお試し——つまり不確実性に払う保険料として合理的な場面に限られます。定番化が見えた機器は、購入+補助金への切り替えを検討しましょう。

買い替えサイクルの設計: 場当たり調達をやめる

  • 主要設備の設置年と想定更新年を1枚の表にします(冷蔵庫10年・製氷機7年・食洗機8年・エアコン10年…が寿命の相場観)
  • 更新年が見えると、公募スケジュールと突き合わせて「補助金で買う年」を計画できます。壊れてから慌てて定価で買う——が一番高い調達です
  • 年間の更新予算を平準化できるため、リースに頼る理由(資金繰りの波)そのものが減っていきます
  • この表は出口承継の場面でも「設備の健康診断書」として働きます

よくある誤解

  • 「初期費用ゼロだから実質タダで始まる」 — ゼロなのは初月だけで、総額は最も高い調達方法です。リースの価値は「安さ」でなく「資金繰りの平準化」——そこにいくら払うかの問題です
  • 「リースなら審査がないから楽」 — リースにも与信審査があります。楽なのは手続きで、契約の縛り(解約不可)はむしろ融資より強い
  • 「全部購入が正義」 — 手元資金を厨房機器で使い切って運転資金が尽きるのは本末転倒です。資金繰りに不安があるなら、融資で買う・一部をリースにする混成が現実解になります

リース中の故障・審査の実務

  • 故障時の負担 — リース物件でも修繕義務はユーザー側の契約が一般的です。「リースだから壊れても安心」は保守契約が付いている場合だけ。保守の範囲(部品・出張費・代替機)を契約書で確認しましょう
  • 与信審査 — 開業直後はリース審査に通りにくいことがあります。その場合は保証金の積み増し・代表者保証・そもそも中古購入への切り替えが現実的な選択肢です
  • 複数台の一括契約に注意 — 「まとめてお得」の一括リースは、1台不要になっても全体の解約ができません。設備ごとに契約を分けるのが撤退自由度を守ります
  • 再リースの罠 — 満了後の再リース(年1回払い等)は割安に見えますが、老朽機を使い続ける電気代・故障リスクとの比較を。省エネ更新のほうが総額で勝つ場面は多いです

調達前チェックリスト

  • ☐ 現金価格・リース総額・補助金活用時の3列表を書いたか
  • ☐ 使える補助金の公募を確認したか → 下の募集中リスト
  • ☐ 30万円未満の特例が使えるか(小型機器の購入判断)
  • ☐ リースの中途解約条件・満了後の扱いを確認したか
  • ☐ 手元資金と運転資金への影響を資金繰り表で見たか
  • ☐ 主要設備の設置年・想定更新年の一覧表を作ったか(計画調達の土台)

結論。リースvs購入は好みでなく、3列の表とその時の公募状況で決まる計算問題です。今日できることは、いま検討中の機器で表を1枚書くこと。営業トークより、自分の表を信じましょう。表を書く5分を惜しんだ差額は、7年分の月額に化けて返ってきます。

実は、この悩みには公的なお金が使えます。厨房機器・レジの購入には、業務改善助成金など設備系の補助金が使えます。いま募集中は184件(毎朝自動更新)。あなたの店の該当分を10秒で診断 →

開業に使える制度は、どの地域に多いか

2026年9月3日時点で該当する277件を地域別に数えました。うち全国対象が31件で、これはどの地域の飲食店でも申請できます。残りは地域限定なので、自分の都道府県にあるかを先に見ましょう。

上限額が公表されている210件で見ると、中央値は200万円、最大は10億円です。下から4分の1は50万円以下なので、「小さく試す」規模の制度も含まれています。

直近の締切はデジタル技術活用促進助成事業(DX導入)【第2回募集受付】の2026年9月4日(あと1日)です。締切の並びは締切間近の制度でまとめて確認しましょう。

よくある質問

Q. リースと購入、どちらが得ですか?

A. 総支払額では購入が有利(リースは金利・手数料込みで現金価格の1.2〜1.4倍が相場観)、資金繰りではリースが有利(初期費用ゼロで月額平準化)、補助金を使うなら購入一択(リースは対象外が原則)——と、評価軸で答えが変わります。自店の手元資金と補助金の当てで決める問題です。

Q. 税務上の扱いはどう違いますか?

A. リース料は原則そのまま経費になります。購入は資産計上して減価償却で数年に分けて経費化しますが、中小企業には30万円未満の少額減価償却資産の特例(年間合計300万円まで即時償却)があり、小型機器なら購入でも一括経費にできます。「経費にしやすいからリース」という営業トークは、この特例の存在で半分崩れます。

Q. リースの途中解約はできますか?

A. ファイナンスリースは原則中途解約不可で、解約時は残期間のリース料相当を一括で支払うのが普通です。閉店・業態転換の際にはこの残債が重荷になります。契約年数は機器の「使う自信のある年数」に合わせましょう。

Q. 補助金でリースは使えないのですか?

A. 設備補助金は「購入による資産の取得」を対象とするのが原則で、リースは対象外か厳しい条件つきです。補助金を使う予定の設備は購入で計画し、リースは「補助対象にならない小物・短期利用」に回すのが定石の使い分けです。

Q. 中古購入という選択肢はどうですか?

A. 厨房機器の中古市場は充実しており、新品の3〜5割の価格で買えます。ただし補助金は新品原則が多いこと、保証・修理部品の面でリスクがあることは織り込みましょう。「補助金が使えるなら新品、自費なら中古も比較」が現実的な順番です。

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