介護・福祉事業所版

ICT・介護テクノロジー導入支援事業:都道府県基金の使い方

2026年10月19日更新 / 定番制度の介護・福祉事業所向け解説

ナビコッコ
この事業の攻略法は一つだけで、「公募が出たら即応できる状態で待つ」ことです。県によっては公募期間が数週間で、見積もりを取り始めた頃には締め切られている、ということが起きます。欲しい機器の見積もりと効果の数字は、公募前に用意しておきましょう。

介護ソフト、見守りセンサー、インカム・Wi-Fi。こうした介護現場のテクノロジー投資を、資金面で支える主役が都道府県のICT・テクノロジー導入支援です。国の一律の補助金とは癖が違う「基金事業」の攻略法をまとめます。

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この事業の3つの癖

  • 県ごとに別物。財源は国の基金でも、制度を設計するのは都道府県です。対象機器・補助率・上限・時期がすべて違い、年度でも変わります。情報は「自分の県の今年度の公募要領」以外あてになりません
  • 公募期間が短い。数週間で締め切る県や、先着順に近い運用の県もあります。「出たら動く」ではなく「出る前に準備」が唯一の攻略法です
  • 効果報告がセット。導入して終わりではありません。国の実施要綱で、補助を受けた翌年度から3年間、業務改善計画に対する効果の報告が求められます。裏を返せば、導入前の現状計測(記録時間・巡視時間)が申請にも報告にも必須の材料になります

対象になりやすい機器の地図

記録・請求ソフト国の実施要綱で、記録・情報共有・請求を一気通貫で行えること(転記が発生しないこと)が要件。居宅介護支援や訪問介護・通所介護などは、ケアプランデータ連携標準仕様のCSV出力・取込機能も必要。介護ソフトの記事参照
タブレット・スマホ介護ソフトをインストールし、業務専用に使うことが条件。機器と一体で使う端末の補助は1台あたり10万円以内
見守り・移乗・入浴の機器テクノロジー導入支援の中核。国の実施要綱の基準額は1機器あたり30万円、移乗支援・入浴支援は100万円。見守り機器の記事参照
インカム・Wi-Fi工事介護ソフトやタブレットを使うためのWi-Fiルーター等は対象で、通信費は対象外。見守り機器と組み合わせるパッケージ型では、配線工事やインカムも対象。ICT基盤の記事参照

「即応できる状態」の作り方: 公募前チェックリスト

  1. 前年度の公募を調べる。「自分の県名+介護 ICT導入支援」で前年の要領を読み、対象・上限・時期の相場観をつかみましょう。今年もほぼ同じ枠組みで出る可能性が高いからです
  2. 現状を数字にする。記録・転記の時間、巡視の時間、請求業務の時間を計測しましょう。申請書の「導入効果」欄の材料になります
  3. 見積もりを先に取る。導入したい機器・ソフトの見積もりと構成を確定させ、公募が出たら書類を組むだけの状態にしておきましょう
  4. 新着を毎朝拾う。公募に気づくことがすべての起点です。下の募集中リストと新着ページは、この事業のための道具です

計算例: 補助で「試せる価格」に変わる

  • 介護ソフト初期20万円+端末5台25万円+Wi-Fi工事40万円=85万円の導入計画
  • 仮に補助率3/4なら補助は約64万円で自己負担約21万円(補助率4/5の県なら自己負担17万円)。職員10名以下の事業所でも、介護ソフト等の基準額100万円の内に収まります。月額費用は残りますが、初期費用のハードルはほぼなくなります
  • 見守りセンサー10床分200万円(1台20万円×10台で、1機器30万円の基準額の内)が補助1/2で自己負担100万円になります。夜勤の巡視人時と転倒予防で、回収の計算が立つ水準です
  • 「補助があるから買う」ではなく、「3年使う前提のものを、補助で安く入れる」と考えることが大事です。月額・保守・更新まで含めた総額で判断しましょう

県による設計差: 実際にあるパターン

「県ごとに別物」の具体像を持っておくと、要領の読み方が速くなります。実際に見られる設計差の例です。

  • 補助率の差。国の実施要綱は「1/2を下限」「条件を満たせば3/4を下限」として、率そのものは県が決めます。介護ソフト等で3/4になる条件は、在宅系ならケアプランデータ連携システムでの連携先が決まっていること、それ以外はLIFEへのCSV提供か文書量半減の導入計画のどちらかです。令和7年度補正予算の事業を使う県では4/5もあり、新潟県・千葉県の令和8年度はどちらも4/5でした
  • 上限の構造。国の実施要綱は区分ごとに基準額を置きます。介護ロボットは1機器ごと、介護ソフト等は職員数ごと(1〜10名100万円、11〜20名150万円、21〜30名200万円、31名以上250万円)、パッケージ型は400万〜1,000万円の範囲で県が決めます。そのうえで千葉県の令和8年度のように「1事業所あたり最大1,000万円」と全体の上限を重ねる県もあります
  • 要件の重さ。国の実施要綱の時点で、業務改善計画の作成、IPAの「SECURITY ACTION」の宣言、LIFEによる情報収集への協力、導入後3年間の効果報告が求められます。施設系は職員の負担軽減策を検討する委員会の設置も要件です。千葉県の令和8年度のように、県のセミナー受講や相談窓口への相談を加える県もあります。負担と考えず「どうせやる取り組みの証明」と捉えれば、ハードルは見た目ほど高くありません
  • 締切の型。期間を区切って受け付ける型と、予算に達した時点で締め切る先着順の型があります。新潟県の令和8年度は8月24日から9月4日までの2週間でした。千葉県は6〜7月の事前協議を経て、8月頃に交付申請へ進む2段階です

よくある誤解

  • 「国の制度だからどこでも同じ」。実際には県ごとに別物です。他県の情報や昨年の記事を根拠に計画を立てると、対象外・要件違いでやり直しになります
  • 「小規模事業所は後回しにされる」。国の実施要綱は、訪問介護や居宅介護支援を含む介護保険の全サービス事業所を対象にしていて、サービス種別で対象を絞らないよう県に求めています。介護ソフト等の基準額も、職員数1〜10名で100万円が用意されています。規模を理由に諦める前に、当年度の要領を確認しましょう
  • 「補助が取れなかったら導入も中止」。補助は、あくまで初期費用を抑えるためのものです。転記時間の計算で回収の見込みが立つ投資なら、月額の小さい構成で先に始め、次年度の公募で拡張する道もあります
  • 「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)と同じ経費に重ねて使える」。国の実施要綱は、この経済産業省の補助金など、他の補助金で助成されている経費を対象外にしています。同じ年度に同じ目的で複数の機種を入れる場合も、補助は1機種だけです。どちらの制度を使うかは、補助率と上限を比べて先に決めましょう

申請から報告までの時間軸

公募前(通年)前年度要領の研究・現状計測・見積もり取得。SECURITY ACTIONの宣言もこの時期に済ませておく
公募〜申請要領と構成の照合 → 申請書提出。短期決戦。ベンダーの申請支援も活用
交付決定→導入いつの発注から対象になるかは要領で確認。千葉県の令和8年度は4月1日以降の導入が対象で、実績報告までに導入と支払いが間に合わないと対象外になる場合がある。導入・研修・データ移行は段階的に
実績報告・効果報告支払い証憑を添えて実績を報告。業務改善の効果報告は、補助を受けた翌年度から3年間続く。導入前の計測値がここで効く

結論として、この事業では「情報の速さ」と「準備の先回り」がすべてです。今日できるのは、自分の県の前年度公募要領を検索して読むことです。30分読み込んでおけば、今年の公募が出た瞬間に動ける事業所になれます。

参考・出典

現在の公募状況

現在、この制度に関連する公募が3件募集中です(2026年10月19日時点・毎朝自動更新):

介護・福祉事業所対象

令和8年度 介護テクノロジー定着支援事業補助金の募集について(予告)

介護施設向けのテクノロジー導入補助金。

地域: 沖縄県 上限: 公募要領を確認
対象か要確認締切まで4日

【4次募集のお知らせ】中小企業デジタル化導入支援事業費補助金

秋田県内の中小企業がデジタルツール・ITソリューション導入による業務効率化・生産性向上を支援。介護・福祉事業所も対象の可能性あるが、上限額・補助率・従業員要件などの詳細が不明

地域: 秋田県 上限: 100万円 締切: 2026年10月23日
対象か要確認

【公募開始】福島県再生可能エネルギー等導入促進支援事業費(再生可能エネルギーに係るもの)(地域活用型再生可能エネルギー導入支援事業)について

福島県内の再生可能エネルギー発電設備導入を支援。小水力・バイオマス・地熱等が対象だが、介護・福祉事業所の適用可否が不明

地域: 福島県 上限: 公募要領を確認 締切: 2026年11月16日

設備投資に使える制度は、どの地域に多いか

2026年10月19日時点で該当する150件を地域別に数えました。うち全国対象が17件で、これはどの地域の介護・福祉事業所でも申請できます。残りは地域限定なので、自分の都道府県にあるかを先に見ましょう。

上限額が公表されている105件で見ると、中央値は500万円、最大は10億円です。下から4分の1は100万円以下なので、「小さく試す」規模の制度も含まれています。

直近の締切は中小企業等グループ補助金(東日本大震災)についての2026年10月23日(あと4日)です。締切の並びは締切間近の制度でまとめて確認しましょう。

よくある質問

Q. どんな制度ですか?

A. 地域医療介護総合確保基金を財源に、都道府県が実施する介護現場のICT・テクノロジー導入支援です。介護ソフト・タブレット・インカム・Wi-Fi工事・見守りセンサー・移乗支援機器などが対象になり、名称は「ICT導入支援事業」「介護テクノロジー導入支援事業」「介護テクノロジー定着支援事業」など県により異なります。令和8年度の新潟県・千葉県は、令和7年度補正予算の事業を使った「定着支援事業」の名称で募集しました。

Q. 国の補助金とは違うのですか?

A. 財源は国の基金ですが、実施主体は都道府県で、対象機器・補助率・上限・公募時期がすべて県ごとに違います。「隣の県で対象だった機器がうちの県では対象外」が普通に起きるため、必ず自分の県の公募要領を読むのが大前提です。

Q. 補助率や上限はどのくらいですか?

A. 県・年度・事業所規模で変わりますが、国の実施要綱では、補助率は1/2または3/4を下限に県が決めます。令和7年度補正予算の事業を使う県では4/5もあります。上限は介護ロボットが1機器30万円(移乗支援・入浴支援は100万円)、介護ソフト等が職員数に応じて100万〜250万円、組み合わせて入れるパッケージ型が400万〜1,000万円の範囲です。導入効果の報告やLIFEの活用などが要件につく場合もあります。具体数値は必ず当年度の公募要領で確認しましょう。

Q. いつ申請できますか?

A. 公募の時期は県ごとに違います。令和8年度は、千葉県が6〜7月に事前協議、新潟県が8月24日〜9月4日に申請受付でした。公募期間が短い県もあるため、「公募が出てから検討」では間に合わないことがあります。前年度の公募時期を調べ、同じ頃に備えるのが実務的な対策です。

Q. 申請には何が必要ですか?

A. 業務改善計画(何を入れて、どの業務を、どれだけ改善するか)、見積書、事業所情報が基本セットです。国の実施要綱では、IPAの「SECURITY ACTION」の宣言も要件で、導入後は補助を受けた翌年度から3年間の効果報告があります。「記録時間を1人1日◯分削減」のような数字を入れた計画が書けると強い申請になります。

Q. 対象になる機器か分かりません。

A. 公募要領の対象機器リスト・要件(例: 記録から請求まで一気通貫、他システム連携など)と照合し、迷ったら県の担当課かベンダーに確認しましょう。介護ソフトは、ベンダーに「この県のICT導入支援に対応していますか」と聞くと話が早くなります。国の実施要綱は、LIFEのCSV取込への対応状況確認書をベンダーから受け取って確かめる方法も示しています。

他の定番制度

公開 2026年8月8日 / 最終更新 2026年10月4日 / この記事は、公的機関が公開する一次資料をもとにホジョナビ編集部が作成したもので、執筆補助にAIを使用。金額・要件・締切は各制度の公募要領が常に優先。制作方針と情報源

更新履歴(1件)
  • 補助率を国の実施要綱の下限1/2・3/4(補正事業は4/5も)に、上限を介護ソフト等100万〜250万円などに修正、SECURITY ACTION宣言と3年間の効果報告を追記
  • 公開