持続化補助金は介護・福祉で使える?対象の整理と活用例
「うちは介護だから対象外でしょう」。持続化補助金をこう見て検討をやめるのは、半分は誤解です。正確な線引きは業種ではなく法人形態と規模で決まります。この記事は、まず対象の整理から正直に始めます。
対象の整理: 使える事業所・使えない事業所
| 対象になり得る | 株式会社・合同会社・個人事業の介護・福祉事業所(+一定要件のNPO法人)。訪問介護・小規模デイ・障害福祉の営利法人など |
|---|---|
| 対象外 | 社会福祉法人・医療法人・一般社団法人等。制度の対象が「商工業者」であるための線引き |
| 規模の関門 | サービス業は常時使用する従業員5人以下が基本。人員基準のある介護では、少人数運営の事業所が現実的な対象層 |
| 確認の作法 | 対象者・従業員定義は公募要領で毎回確認。「常時使用する従業員」の数え方(役員・一定のパートの扱い)にもルールがあります |
対象外だった法人も、落胆する必要はありません。ICT導入支援・業務改善助成金・施設整備系の基金事業と、介護には別の柱が揃っています。この記事のここから先は、「対象に乗る事業所」向けの活用編です。
介護・福祉での活用例: 「販路開拓」を翻訳する
- 利用者獲得の広報。ケアマネ・家族向けのパンフレット、事業所ホームページ、実績と空き情報の見える化。デイの記事のケアマネ営業を形にする投資です
- 選ばれる見学環境。見学者の第一印象を変える玄関・相談スペースの改善、説明資料・動画の整備
- 保険外(自費)サービスの開発。保険外の送迎・家事支援・宿泊、自費リハなど「報酬の外の売上」の商品化。制度の趣旨に最も素直に合うテーマです
- 授産品の販路開拓。就労系事業所のEC・パッケージ・催事出店。障害福祉の記事の「販路→生産」の順番論とセットで
お金の実感: 50万円の計画を組むと
- 補助率・上限は公募回で変わります。ここでは現行の一般型(第20回)の補助率2/3で計算します
- パンフレット・ホームページ刷新30万円+見学スペース改善20万円=50万円の計画なら、補助33万円・自己負担17万円
- デイの稼働率が1ポイント上がれば年90万円規模です。広報投資の回収ラインとしては十分に現実的です
- 入金は実績報告後(着手から半年〜10ヶ月先)。全額立替の資金繰りを忘れずに
使い道アイデア帳: 介護・福祉の「販路開拓」
| 紹介元向けの広報 | ケアマネ・相談支援向けの事業所案内、空き情報の定期便の仕組み、実績データのリーフレット |
|---|---|
| 家族向けの発信 | ホームページ・見学動画・送迎エリアマップ。「検索して比べる家族」に届く形を作る |
| 自費サービス | 保険外の送迎・家事支援・自費リハ・宿泊の商品化。料金表・約款・案内物の整備。報酬改定に左右されない収益の柱づくりでもある |
| 物販・授産品 | ECサイト・パッケージ・カタログの制作、催事出店の什器 |
| 地域イベント | 介護予防教室・認知症カフェの開催案内。地域の認知=将来の利用者接点への投資 |
特例・加点と創業型も知っておく
現行の一般型(通常枠・第20回)には、以前の公募回にあった創業枠のような特別枠はありません。補助上限は50万円が基本で、インボイス特例の対象なら50万円、賃金引上げ特例の対象なら150万円が上乗せされます(両方なら200万円の上乗せ)。賃金引上げ特例で申請する赤字の事業者は、補助率が2/3から3/4に上がります。事業承継は枠ではなく加点の扱いで、代表者が60歳以上で、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合が対象です。賃上げの計画も加点の対象になります。
開業して間もない事業所は、別の制度である創業型(第4回)も比べましょう。上限200万円・補助率2/3で、認定を受けた市区町村などが行う「特定創業支援等事業」の支援を受けた日と開業日が、どちらも公募締切から過去1年以内であることが条件です。一般型と創業型は同時に申請できないため、どちらで出すかを最初に決めることになります。要件は公募回ごとに変わるので、申請前に最新の公募要領で確かめましょう。不採択でも次の公募回に申請し直せます。次回の予定は締切のあとに案内されるため、事務局のサイトで時期を確認しておくと安心です。
計画書の書き方: 介護の言葉を商売の言葉に
審査するのは介護の専門家ではありません。「加算」「ケアマネ」「稼働率」を、誰に・何を・どう届けて・売上がいくら増えるかという商売の言葉に翻訳するのが採択のコツです。例えば「紹介元への情報提供を月次化し、見学からの成約率を上げる。広報物と見学環境に投資し、月の新規利用者を2人増やす=月◯万円の増収」。この形なら、介護を知らない審査員にも投資と増収の因果関係が伝わります。
商工会議所の使い方: 介護事業者には未知の窓口
介護業界の相談先といえば指定権者・社労士・国保連ですが、この制度の窓口は商工会議所・商工会という「商売側」の支援機関です。使い方は簡単で、電話で「持続化補助金を検討している介護事業者です」と伝えて相談予約を取るだけです。計画書の書き方・地域の採択傾向・様式の発行まで無料で伴走してくれます。会員である必要はありません。おおむね市の中心部は商工会議所、町村部は商工会が担当で、「自分の市区町村名+商工会」で検索すれば窓口が分かります。窓口の様式発行に日数がかかるため、締切の1ヶ月前には最初の相談を済ませましょう。
よくある誤解
- 「介護は全部対象外」。法人形態次第です。営利法人の小規模事業所なら土俵に乗ります。入口で諦める前に公募要領の対象者規定を読みましょう
- 「介護報酬の世界に販路開拓はない」。利用者獲得・自費サービス・物販と、報酬の外側に伸ばせる売上はあります。むしろ報酬改定に左右されない収益源づくりは、介護経営の中期テーマそのものです
- 「商工会議所は介護と無縁」。窓口は業種を問いません。地域の小規模事業者支援が仕事なので、介護事業者の相談も普通に受けています。会員でなくても無料です
申請から入金までの時間軸
| 締切1ヶ月前 | 対象者要件の確認 → 商工会議所に相談予約、計画書の下書き。gBizID取得もここで |
|---|---|
| 締切2週間前 | 窓口確認を受け、様式を発行してもらう |
| 締切 | 電子申請 |
| 2〜3ヶ月後 | 採択発表 → 交付決定。発注はここから |
| その後半年前後 | 実施 → 実績報告(領収書・成果物の写真)→ 入金 |
まとめると、持続化補助金は「介護だから」でなく「法人形態と規模」で判定する制度です。今日できるのは、公募要領の対象者ページを開いて自社を当てはめることです。5分の確認で、使える制度の選択肢がひとつ増えるかもしれません。対象だと分かったら、次の5分で商工会議所の電話番号を調べましょう。介護の外の制度は、介護の外の窓口に相談するところから始まります。
参考・出典
現在の公募状況
2026年10月19日時点で、この制度の募集中の公募回はデータベースにありません。新しい公募が始まれば毎朝の自動巡回でここに掲載されます。新着ページもあわせてご確認ください。
開業に使える制度は、どの地域に多いか
2026年10月19日時点で該当する57件を地域別に数えました。うち全国対象が7件で、これはどの地域の介護・福祉事業所でも申請できます。残りは地域限定なので、自分の都道府県にあるかを先に見ましょう。
| 都道府県 | 該当する制度 | その地域の一覧 |
|---|---|---|
| 東京都 | 6件 | 東京都の介護・福祉事業所向け制度 |
| 福島県 | 5件 | 福島県の介護・福祉事業所向け制度 |
| 埼玉県 | 4件 | 埼玉県の介護・福祉事業所向け制度 |
| 兵庫県 | 2件 | 兵庫県の介護・福祉事業所向け制度 |
| 千葉県 | 2件 | 千葉県の介護・福祉事業所向け制度 |
| 熊本県 | 2件 | 熊本県の介護・福祉事業所向け制度 |
| 京都府 | 2件 | 京都府の介護・福祉事業所向け制度 |
| 北海道 | 2件 | 北海道の介護・福祉事業所向け制度 |
| 新潟県 | 2件 | 新潟県の介護・福祉事業所向け制度 |
| 福岡県 | 2件 | 福岡県の介護・福祉事業所向け制度 |
上限額が公表されている34件で見ると、中央値は100万円、最大は5億円です。下から4分の1は25万円以下なので、「小さく試す」規模の制度も含まれています。
直近の締切は【募集期間延長】「さかいでからはじめる創業支援補助金」の募集…の2026年10月30日(あと11日)です。締切の並びは締切間近の制度でまとめて確認しましょう。
よくある質問
Q. 介護事業所は持続化補助金の対象ですか?
A. 法人形態によります。この制度の対象は商工業者たる小規模事業者(会社・個人事業主。一定要件のNPO法人も対象になり得ます)で、株式会社・合同会社・個人事業の介護事業所は土俵に乗ります。一方、社会福祉法人・医療法人・一般社団法人などは対象外とされています。必ず最新の公募要領の対象者規定で確認しましょう。
Q. 従業員数の要件はどうなりますか?
A. 小規模事業者の定義は、サービス業では常時使用する従業員5人以下が基本です(業種分類の扱いは公募要領の定義に従います)。介護事業所は人員基準の関係で従業員数が多くなりがちなため、ここが実務上の関門になります。訪問介護や小規模デイなど、少人数運営の事業所が現実的な対象層です。
Q. 何に使えますか?
A. 販路開拓とは、新しい利用者・新しい売上につながる取り組みのことです。パンフレット・ホームページ・見学対応スペースの改善、地域向けイベント、自費サービス(保険外サービス)の開発、就労系事業所なら授産品の販路開拓・パッケージ刷新などが典型例です。
Q. 介護報酬の事業に「販路開拓」はなじみますか?
A. なじむ部分があります。利用者獲得の広報(ケアマネ・家族向け)、選ばれる見学環境、保険外の自費サービスや物販という「報酬外の売上」づくりは、いずれも制度の趣旨に合っています。計画書では「誰に何を届けて、どんな売上が増えるか」を介護の文脈で具体化しましょう。
Q. 社会福祉法人ですが、代わりに使える制度はありますか?
A. 施設整備・改修は基金事業(要望調査型)、ICTは都道府県の導入支援、賃上げ×設備は業務改善助成金、正社員化はキャリアアップ助成金が使えます。就労系の販路開拓は都道府県の工賃向上支援・共同受注窓口が持続化補助金の代替になり得ます。
Q. 申請の流れは他業種と同じですか?
A. 同じです。経営計画書・補助事業計画書を作り、商工会議所・商工会の確認を受けて電子申請します。介護事業者には馴染みの薄い窓口ですが、会員でなくても無料で相談できます。gBizIDプライムの取得(オンライン申請なら最短即日、郵送なら最大1か月)も忘れずに。
他の定番制度
公開 2026年8月8日 / 最終更新 2026年10月7日 / この記事は、公的機関が公開する一次資料をもとにホジョナビ編集部が作成したもので、執筆補助にAIを使用。金額・要件・締切は各制度の公募要領が常に優先。制作方針と情報源
更新履歴(2件)
- gBizIDプライムの取得期間を「数日〜2週間」から「オンライン申請なら最短即日、郵送なら最大1か月」に修正
- 第20回一般型には創業枠などの特別枠がない点を修正、インボイス特例・賃金引上げ特例の上乗せ額(50万円・150万円)と創業型(第4回、上限200万円)を追記、参考・出典を追加
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