飲食店版

居酒屋で使える補助金・助成金:人を雇う業態は「雇用系」が本命になる

2026年7月20日更新 / 業態別の補助金・開業資金ガイド

ナビコッコ
居酒屋は飲食業の中で一番「人」の業態です。だから使える制度も人がらみが厚い。設備の補助金を単発で追うより、雇用系助成金を毎年の年中行事にする方が、累計では大きな金額になりますよ。

居酒屋は飲食業態の中で最も「人」に依存する業態です。ホール・キッチンで常に複数人が動き、シフト管理と採用が経営の中心になる。だからこそ補助金・助成金の戦略も他業態と違い、設備系の単発補助より、雇用系助成金を継続的に取る方が累計で大きくなるのが居酒屋の特徴です。

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まず相場観:居酒屋開業費用の内訳(15坪・25席)

物件取得費200万〜350万円。夜営業の立地は保証金が高め(家賃10ヶ月分も普通)
内装工事450万〜700万円。ダクト・給排気が居酒屋の隠れ費用。重飲食可の居抜きなら半減
厨房機器200万〜300万円。高火力コンロ・大型冷蔵庫・製氷機・食洗機。機器別の補助金参照
運転資金200万円〜。仕入れ(酒は現金問屋か掛けか)と人件費の先行が大きい
合計1,000万〜1,500万円。居抜きなら700万円台から

使える制度の型:居酒屋は「雇用系」が本命

正社員化型キャリアアップ助成金。バイトから社員への転換で1人あたり数十万円規模。店長候補を社会保険つきで正社員化する場面は居酒屋の定番イベントなので、知らずに転換すると毎回取り損ねる
賃上げ×設備型業務改善助成金。最低賃金引き上げとセットで券売機・食洗機・セルフオーダーを導入。人が多い業態ほど賃上げの対象者がいて使いやすい
販路開拓型持続化補助金。ランチ参入・テイクアウト強化・インバウンド対応(多言語メニュー)の投資に
省エネ・設備型冷蔵庫・空調の更新は省エネ系で。営業時間が長い業態は電気代削減の効果も大きい

計算例:スタッフ8人の店の「雇用系の年中行事」

  • 体制:社員2人+アルバイト6人の25席居酒屋
  • 年1回の業務改善助成金:最低賃金引き上げ(時給+60円)とセットで食洗機100万円→仮に3/4助成で75万円
  • バイトの正社員転換:年1人をキャリアアップ助成金で転換→数十万円規模(コースにより変動)
  • 2年間の累計イメージ:設備2件+転換2人で150万〜250万円規模の支援を受けながら、店は省力化され、スタッフの待遇は上がる
  • ポイント:雇用系助成金は採択制でなく要件充足型(条件を満たせば原則もらえる)。計画届の提出が「実行の前」という順序ルールだけは絶対で、ここを外すと満額アウトです。社労士に頼む場合の報酬相場は受給額の10〜20%

夜営業の法務:深夜酒類提供と風営法の分かれ目

  • 深夜0時以降に酒類中心の営業 → 警察署への「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」。図面つきの届出で、用途地域によっては不可(住居系地域など)。物件契約前に必ず確認
  • 「接待」をするなら風営法許可 — お客の隣に座る・カラオケでデュエットする等は接待に該当し、深夜届出では営業できません。業態設計の分岐点。ここの誤解は営業停止に直結するので、迷ったら行政書士か警察署の生活安全課へ
  • 20歳未満への酒類提供の管理 — 年齢確認の仕組み(POSでの確認ボタン・掲示)を開業時に整備。従業員教育の記録も自衛になります

居酒屋の損益の急所と、制度でどう守るか

  • FLコスト(食材+人件費)は売上の55〜60%が防衛ライン。人件費側の上昇(最低賃金)は今後も続くため、省力化投資→業務改善助成金のサイクルを毎年回すのが構造対策
  • ドリンク比率が生命線 — 原価率の低いドリンク(3割前後)が全体の粗利を支える構造。製氷機・ドリンクサーバーへの投資は粗利装置への投資です
  • 宴会需要の波 — 12月と4月に集中する売上の平準化(ランチ・テイクアウト・平日コース)が持続化補助金の定番テーマ。「新しい客層を取りに行く計画」として書きやすい

よくある誤解

  • 「助成金は面倒だからやらない」 — 雇用系は一度型を作れば毎年同じ手順です。就業規則・出勤簿・賃金台帳の3点が整っていれば、実務の8割は終わっています。逆にこの3点が無い店は、助成金以前に労務リスクを抱えています(社会保険ガイド
  • 「深夜届を出せば何でもできる」 — 接待行為は不可。ダーツ・カラオケ設備の扱いも地域の運用差があるため、業態を変えるときは都度確認を
  • 「改装は全額自腹しかない」 — トイレ改修・分煙・バリアフリーは自治体補助が付きやすい定番改修です。受動喫煙対策の補助は喫煙室設置の定番ルートなので、たばこを吸う客層の店は要チェック
  • 「求人費は削れない固定費」 — 無料の採用ページ(Airワーク等)+既存スタッフの紹介インセンティブ(1人採用で紹介者に1万円等)の組み合わせで、有料媒体費を半減させた店は珍しくありません。人手不足対策の投資順序は人手不足ガイドに整理しています

申請前チェックリスト

  • ☐ 就業規則・出勤簿・賃金台帳は整備済みか(雇用系助成金の土台)
  • ☐ 正社員化・賃上げの予定を助成金のスケジュールに合わせているか(実行前の計画届が鉄則)
  • ☐ 物件の用途地域で深夜営業が可能か確認したか
  • ☐ 自治体の設備・受動喫煙・インバウンド補助を確認したか → 下の募集中リスト
  • ☐ 券売機・食洗機など省力化投資の優先順位を決めたか(券売機食洗機

いま募集中の関連制度

2026年7月20日時点で、居酒屋を名指しした募集中の制度はデータベースにありません。上で解説した定番制度と自治体の創業支援が基本線です。新しい公募は毎朝の自動巡回で新着ページに掲載されます。

あわせて確認したい定番制度

よくある質問

Q. 居酒屋の開業資金はいくらですか?

A. 15坪・25席クラスで1,000万〜1,500万円が相場です。カフェより厨房が重く(火力・冷蔵容量・ダクト)、営業時間が長いぶん運転資金も厚めに必要です。居抜き活用で300万〜500万円の圧縮が定石です。

Q. 深夜0時以降もお酒を出すには何が必要ですか?

A. 深夜0時以降に主として酒類を提供する営業には「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」(警察署)が必要です。用途地域によっては営業できない場所があるため、物件契約前の確認が必須です。なお接待(お客の隣に座って接客等)をするなら風営法の許可という全く別の世界になります。

Q. 居酒屋で使いやすい助成金はどれですか?

A. 非正規スタッフの正社員化で受給するキャリアアップ助成金、最低賃金引き上げとセットの設備投資に使う業務改善助成金が二本柱です。どちらも「人を雇っている」ことが前提なので、まさに居酒屋向きの制度です。

Q. インバウンド対応にも補助金は使えますか?

A. 使えます。多言語メニューの制作・翻訳、キャッシュレス決済(海外カード・タッチ決済)、免税対応などは、観光地の自治体でインバウンド対応補助の定番メニューです。持続化補助金の「新しい客層の開拓」としても書きやすいテーマで、夜の飲食はインバウンド消費の主戦場なので相性は抜群です。

Q. 開業資金の調達はどう組むのが定石ですか?

A. 自己資金3割+日本政策金融公庫の創業融資が基本形です。1,200万円の開業なら自己資金400万円+融資800万円のイメージ。保証金・内装など開業費に補助金は間に合わない(後払いのため)ので、開業は融資で組み、開業後の設備・販促投資に補助金を当てるのが正しい順番です。

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