飲食店版

補助金の仕訳と勘定科目:交付決定から入金までの記帳実務

2026年10月5日更新 / 飲食店主向けガイド

ナビコッコ
補助金の記帳で迷ったら「雑収入・消費税は不課税」。まずこれだけ押さえれば、多くの補助金は記帳できます。迷いやすいのは設備型で出てくる圧縮記帳です。採択メールをもらったら、このページをブックマークしましょう。

採択の喜びのあと、最初に迷うのが「これ、帳簿にどう書くの?」です。補助金の記帳は原則3行で終わるシンプルな処理ですが、計上のタイミング・消費税・設備型の3箇所に間違えやすい点があります。仕訳例で一気に整理します。

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基本形: 勘定科目は「雑収入」

科目雑収入(売上高ではない)。事業関連の補助金は事業所得の収入
消費税区分不課税。対価性がないため。会計ソフトでは「不課税」を選ぶ(非課税ではなく不課税)
源泉徴収されない。ただし入金額が交付決定額と同じとは限らない(実績報告で減額される、振込手数料が引かれるなど。後半の「入金額が決定額と違うとき」を参照)

仕訳例①: 経費型(販促費50万円に補助2/3=33万円)

  • チラシ・看板代の支払い時: (借)広告宣伝費 500,000 /(貸)普通預金 500,000
  • 補助金額の確定通知を受けた時(入金前。交付決定の時点ではまだ計上しない): (借)未収入金 330,000 /(貸)雑収入 330,000
  • 入金時: (借)普通預金 330,000 /(貸)未収入金 330,000
  • ポイント: 経費は経費として全額計上し、補助金は収入として別に立てる。相殺して「実質負担だけ記帳」はNGです(経費の証拠も消費税の計算もおかしくなります)

仕訳例②: 同一年内に決定・入金が完結する場合

  • 入金時に1本だけ記帳しても、実務上は同じ結果になります: (借)普通預金 330,000 /(貸)雑収入 330,000
  • ただし年をまたぐ場合は必ず未収入金方式にしましょう。12月に確定通知・翌2月入金なら、収入は確定通知の年に計上します

仕訳例③: 設備型(食洗機100万円に補助75万円)→ 圧縮記帳の検討

  • そのまま処理すると、補助金75万円が一気に収入になる一方、食洗機の経費化は減価償却で年12.5万円ずつです。そのため、確定通知の年だけ利益と税金が跳ね上がるという時間差の問題が起きます
  • この差をならすのが圧縮記帳です。(借)圧縮損 750,000 /(貸)機械装置 750,000 として資産の帳簿価額を25万円に圧縮し、以後はその額で減価償却(法人の場合の仕訳例です。個人事業主は補助金を総収入金額に算入せず、補助金を差し引いた25万円を取得価額として減価償却する扱いになるので、会計ソフトの入力方法は税理士に確認しましょう)
  • 対象は固定資産の取得に充てる国や自治体の補助金(国庫補助金等)です。個人の場合は、返還不要がその年の12月31日までに確定していることも条件です(所得税法42条)。計算例・メリットデメリットは補助金と税金のガイドで詳しく解説しています

消費税の落とし穴: 返還調整(課税事業者のみ)

  • 課税事業者(原則課税)が税込経費に補助金を受けた場合、経費側で仕入税額控除も受けると消費税分が二重取りになるため、補助金側で「仕入控除税額の返還」を求める制度があります
  • 該当するかどうかは、交付要綱の「消費税等仕入控除税額の取扱い」条項で確認しましょう。報告を怠ると後日返還+加算のリスクがある、目立たないけれど重要な条項です
  • 免税事業者・簡易課税の場合は基本的に対象外(返還不要)となる設計が多いです。課税事業者かどうかの整理とあわせて確認しましょう

圧縮記帳する?しない?30秒判断

  • する方が有利: 採択年の利益が大きく税率の高い年/立替と納税が重なると資金繰りが苦しい
  • しない選択もあり: 採択年がもともと赤字(相殺できる)/青色の繰越控除で吸収できる見込みが立つ場合。圧縮記帳は「課税の繰り延べ」であって免除ではないため、トータルの税額は同じです。差が出るのはタイミングだけ、というのが正確な理解です
  • 迷ったら採択通知を持って税務署の無料相談かよろず支援拠点へ。申告後からのやり直しは面倒です

年末の3大事故: 12月に確定通知が届いた人は特に注意

  1. 計上年のズレ。12月20日に確定通知・翌2月入金なら、収入は確定通知の年です。入金年で申告すると1年ズレて、修正申告のもとになります
  2. 圧縮記帳の検討漏れ。設備の取得と補助金の決定が年をまたぐと処理が複雑になります。年内に取得だけ済んでいる場合は特別勘定という中継処理もあるので、この形になったら申告前に専門家へ相談しましょう
  3. 予定納税・国保への波及の見落とし。大きな雑収入は、翌年の予定納税や国民健康保険料にも跳ね返ります。入金額を全部使い切らず、3割を目安に納税用に取り置きましょう

採択案件の管理表を1枚作る

複数の制度を並行して使い始めると、記帳より先に管理漏れがトラブルの元になります。管理はスプレッドシート1枚で足ります。

列の構成制度名/交付決定日/交付決定額/確定通知日・確定額/入金予定・実績/実績報告の期限/消費税返還の要否/処分制限期間(設備型)
運用採択メールが来たらまず1行追加。月次の記帳時にこの表と通帳を突き合わせる。5分で終わる習慣ですが、これが一番の事故防止装置になります
効果年またぎの計上漏れ・実績報告の失念(最悪は交付取消)・返還条項の見落としがこの1枚で消えます

会計ソフトでの入力(freee・弥生)

  • 入金明細の自動取込に「〇〇補助金」が出たら、勘定科目雑収入・税区分不課税を選ぶだけ。一度登録すれば次回から自動推測されます
  • 未収入金を立てる場合は「取引の発生日=確定通知日」「決済日=入金日」として1取引で入力できます
  • 圧縮記帳は固定資産台帳の取得価額調整が絡むため、ソフト任せにせず、処理方針を決めてから登録しましょう(順序を間違えると修正が面倒な代表例です)

雇用系の助成金の場合: タイミングが少し違う

  • 業務改善助成金・キャリアアップ助成金などの雇用系助成金も科目は雑収入・不課税で同じです
  • キャリアアップ助成金のような奨励金型は、計上タイミングは支給決定があった日が基準。申請から支給決定まで数ヶ月かかることが多く、年をまたぎやすいので、通知書の日付を必ず確認しましょう
  • 休業手当や賃金そのものを補う給付金(雇用調整助成金など)は扱いが違います。法人の場合、休業などをした事業年度の終わりに金額が決まっていなくても、見積もって計上します(法人税基本通達2-1-42)
  • 人件費の補填的な性格の助成金でも、給与のマイナス処理にはしません。給与は給与で全額計上し、助成金は雑収入にします。ここでも両建てが原則です

確定申告書のどこに書くか

  • 青色申告決算書。損益計算書の「雑収入」欄に含めて記載します。金額が大きい場合は決算書2ページ目の雑収入の内訳に「〇〇補助金」と書いておくと、後の問い合わせが減ります
  • 白色(収支内訳書)。「その他の収入」欄に書きます
  • 事業と無関係の個人向け給付金(過去の特別定額給付金など非課税のもの)は記帳不要。事業に関連する補助金・助成金・協力金は原則すべて課税対象です。「もらったお金は書かなくていい」という思い込みが一番危ない誤解です

入金額が決定額と違うとき

  • 実績報告で減額された(見積もりより安く済んだ・一部経費が対象外認定)。よくあることです。雑収入は確定通知の金額で計上します。交付決定額で先に未収入金を立てていた場合は、差額を取り消します: (借)雑収入 ◯◯ /(貸)未収入金 ◯◯
  • 振込手数料が引かれて入金された。差額は支払手数料として処理します: (借)普通預金 329,560・支払手数料 440 /(貸)未収入金 330,000
  • 返還を求められた(要件未達・処分制限違反など)。返還時に雑収入のマイナス(または雑損失)で処理し、加算金部分は経費にならないことがあるため通知書の内訳で区分します。ここまで来たら税理士か税務署に相談しましょう

白色申告でも扱いは同じ?

同じです。科目・不課税・計上タイミングの原則は青色と変わりません。違うのは書く欄で、収支内訳書では「その他の収入」欄に書きます。設備型で使う国庫補助金等の総収入金額不算入(個人の圧縮記帳にあたる扱い。所得税法42条)は白色でも使えます。条件は、確定申告書にこの規定を使う旨と金額を書くことです。青色申告への切り替えは、控除額など別の損得で検討しましょう(切り替えの申請期限はその年の3月15日)。

よくある間違いチェックリスト

  • ☐ 売上高に混ぜていないか(雑収入が正)
  • ☐ 消費税を課税にしていないか(不課税が正)
  • ☐ 年またぎの確定通知を入金年で計上していないか(確定通知の年が正)
  • ☐ 経費と補助金を相殺して記帳していないか(両建てが正)
  • ☐ 設備型で圧縮記帳を検討したか
  • ☐ 交付要綱の消費税返還条項を確認したか
  • ☐ 設備型は処分制限期間を管理表にメモしたか
  • ☐ 入金額の3割を目安に納税用に取り置いたか(翌年の予定納税・国保の波及対策)

参考・出典

設備投資に使える制度は、どの地域に多いか

2026年10月19日時点で該当する329件を地域別に数えました。うち全国対象が52件で、これはどの地域の飲食店でも申請できます。残りは地域限定なので、自分の都道府県にあるかを先に見ましょう。

上限額が公表されている235件で見ると、中央値は100万円、最大は10億円です。下から4分の1は30万円以下なので、「小さく試す」規模の制度も含まれています。

直近の締切は中小企業等グループ補助金(東日本大震災)についての2026年10月23日(あと4日)です。締切の並びは締切間近の制度でまとめて確認しましょう。

よくある質問

Q. 補助金の勘定科目は何ですか?

A. 事業に関連する補助金・助成金は「雑収入」で処理するのが基本です。売上高ではありません(本業の対価ではないため)。個人事業主の場合、事業関連の補助金は事業所得の収入に含まれます。

Q. 補助金に消費税はかかりますか?

A. 補助金の受け取り自体は対価性がないため消費税は不課税です。ただし課税事業者が「消費税込みの経費」に対して補助金を受けた場合、仕入税額控除との二重取り部分について、後日「消費税の返還」を求められる制度上の調整があります。交付要綱に「仕入控除税額の報告」の記載がないか確認しましょう。

Q. いつの収入として計上しますか?入金された日ですか?

A. 原則は、受け取る金額が確定した日の属する年の収入です。持続化補助金のような経費補助型は、交付決定の時点では上限額が決まるだけで、実績報告のあとに届く「補助金額の確定通知」で金額が決まります。国税庁も自らが実施する補助金のQ&Aで、確定通知書の通知日の属する年分の収入に算入すると示しています。年をまたぐ場合(12月に確定通知・翌年2月入金など)は、確定通知の日付で未収入金を立てましょう。ここは間違いやすいので、年末に確定通知が届いた場合は特に注意しましょう。

Q. 自治体の営業時間短縮協力金や物価高騰支援金も同じ処理ですか?

A. はい、事業に関連して受け取る協力金・支援金も雑収入・不課税・課税所得という同じ枠組みです。「協力金は非課税」という誤情報が過去に広まりましたが、事業関連の給付は原則として所得税の課税対象です。

Q. 補助金で買った設備を売却・廃棄するときの注意はありますか?

A. 設備型の補助金には「処分制限期間」(耐用年数に応じた年数)があり、期間内に売却・廃棄・目的外使用をするには事務局の承認が必要で、補助金の一部返還を求められることがあります。「もらって終わり」ではなく、管理表に処分制限の年限をメモしておきましょう。

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公開 2026年7月21日 / 最終更新 2026年10月5日 / この記事は、公的機関が公開する一次資料をもとにホジョナビ編集部が作成したもので、執筆補助にAIを使用。金額・要件・締切は各制度の公募要領が常に優先。制作方針と情報源

更新履歴(1件)
  • 補助金の収入計上時期を「交付決定日」から「補助金額の確定通知の日」に修正、個人の圧縮記帳にあたる扱いは白色申告でも使える点を修正、参考・出典を追加
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