飲食店版

補助金の仕訳と勘定科目:交付決定から入金までの記帳実務

2026年7月24日更新 / 飲食店主向けガイド

ナビコッコ
補助金の記帳で迷ったら「雑収入・消費税は不課税」——まずこれだけで8割正解です。残り2割の設備型は圧縮記帳の出番。採択メールをもらったら、このページをブックマークしてください。

採択の喜びのあと、最初に迷うのが「これ、帳簿にどう書くの?」です。補助金の記帳は原則3行で終わるシンプルな世界ですが、計上のタイミング・消費税・設備型の3箇所に落とし穴があります。仕訳例で一気に整理します。

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基本形: 勘定科目は「雑収入」

科目雑収入(売上高ではない)。事業関連の補助金は事業所得の収入
消費税区分不課税。対価性がないため。会計ソフトでは「不課税」を選ぶ(非課税ではなく不課税)
源泉徴収されない。入金額=交付決定額

仕訳例①: 経費型(販促費50万円に補助2/3=33万円)

  • チラシ・看板代の支払い時: (借)広告宣伝費 500,000 /(貸)普通預金 500,000
  • 交付決定時(入金前): (借)未収入金 330,000 /(貸)雑収入 330,000
  • 入金時: (借)普通預金 330,000 /(貸)未収入金 330,000
  • ポイント: 経費は経費として全額計上し、補助金は収入として別に立てる。相殺して「実質負担だけ記帳」はNGです(経費の証拠も消費税の計算も狂います)

仕訳例②: 同一年内に決定・入金が完結する場合

  • シンプルに入金時1本でも実務上は同じ結果に: (借)普通預金 330,000 /(貸)雑収入 330,000
  • ただし年をまたぐ場合は必ず未収入金方式で。12月交付決定・翌2月入金なら、収入は決定年に計上します

仕訳例③: 設備型(食洗機100万円に補助75万円)→ 圧縮記帳の検討

  • そのまま処理すると、補助金75万円が一気に収入になる一方、食洗機の経費化は減価償却で年12.5万円ずつ——採択年だけ利益と税金が跳ね上がる時間差問題が起きます
  • これをならすのが圧縮記帳: (借)圧縮損 750,000 /(貸)機械装置 750,000 として資産の帳簿価額を25万円に圧縮し、以後はその額で減価償却
  • 国庫補助金等が対象で、自治体独自の補助金は対象になるか要確認。計算例・メリットデメリットは補助金と税金のガイドで詳しく解説しています

消費税の落とし穴: 返還調整(課税事業者のみ)

  • 課税事業者(原則課税)が税込経費に補助金を受けた場合、経費側で仕入税額控除も受けると消費税分が二重取りになるため、補助金側で「仕入控除税額の返還」を求める制度があります
  • 該当するかは交付要綱の「消費税等仕入控除税額の取扱い」条項を確認。報告を怠ると後日返還+加算のリスクがある、地味に重要な条項です
  • 免税事業者・簡易課税の場合は基本的に対象外(返還不要)となる設計が多い。課税事業者かどうかの整理とセットで確認を

圧縮記帳する?しない?30秒判断

  • する方が有利: 採択年の利益が大きく税率の高い年/立替と納税が重なると資金繰りが苦しい(大半の店はこちら)
  • しない選択もあり: 採択年がもともと赤字(相殺できる)/青色の繰越控除で吸収できる見込みが立つ場合。圧縮記帳は「課税の繰り延べ」であって免除ではないため、トータルの税額は同じ——効くのはタイミングだけ、が正確な理解です
  • 迷ったら採択通知を持って税務署の無料相談かよろず支援拠点へ。申告後からのやり直しは面倒です

採択案件の管理表を1枚作る

複数の制度を並行して使い始めると、記帳より先に管理漏れが事故の元になります。スプレッドシート1枚で足ります:

列の構成制度名/交付決定日/決定額/入金予定・実績/実績報告の期限/消費税返還の要否/処分制限期間(設備型)
運用採択メールが来たらまず1行追加。月次の記帳時にこの表と通帳を突き合わせる
効果年またぎの計上漏れ・実績報告の失念(最悪は交付取消)・返還条項の見落としがこの1枚で消えます

会計ソフトでの入力(freee・弥生)

  • 入金明細の自動取込に「〇〇補助金」が出たら、勘定科目雑収入・税区分不課税を選ぶだけ。一度登録すれば次回から自動推測されます
  • 未収入金を立てる場合は「取引の発生日=交付決定日」「決済日=入金日」として1取引で入力できます
  • 圧縮記帳は固定資産台帳の取得価額調整が絡むため、ソフト任せにせず処理方針を決めてから登録を(順序を間違えると修正が面倒な代表例です)

雇用系の助成金の場合: タイミングが少し違う

  • 業務改善助成金・キャリアアップ助成金などの雇用系助成金も科目は雑収入・不課税で同じです
  • 計上タイミングは支給決定通知が届いた日が基準。申請から支給決定まで数ヶ月かかることが多く、年をまたぎやすいので、通知書の日付を必ず確認してください
  • 人件費の補填的な性格の助成金でも、給与のマイナス処理にはしません。給与は給与で全額計上、助成金は雑収入——ここでも両建てが原則です

確定申告書のどこに書くか

  • 青色申告決算書 — 損益計算書の「雑収入」欄に含めて記載。金額が大きい場合は決算書2ページ目の雑収入の内訳に「〇〇補助金」と書いておくと、後の問い合わせが減ります
  • 白色(収支内訳書) — 「その他の収入」欄へ
  • 事業と無関係の個人向け給付金(過去の特別定額給付金など非課税のもの)は記帳不要。事業に関連する補助金・助成金・協力金は原則すべて課税対象——「もらったお金は書かなくていい」という思い込みが一番危ない誤解です

よくある間違いチェックリスト

  • ☐ 売上高に混ぜていないか(雑収入が正)
  • ☐ 消費税を課税にしていないか(不課税が正)
  • ☐ 年またぎの交付決定を入金年で計上していないか(決定年が正)
  • ☐ 経費と補助金を相殺して記帳していないか(両建てが正)
  • ☐ 設備型で圧縮記帳を検討したか
  • ☐ 交付要綱の消費税返還条項を確認したか

よくある質問

Q. 補助金の勘定科目は何ですか?

A. 事業に関連する補助金・助成金は「雑収入」で処理するのが基本です。売上高ではありません(本業の対価ではないため)。個人事業主の場合、事業関連の補助金は事業所得の収入に含まれます。

Q. 補助金に消費税はかかりますか?

A. 補助金の受け取り自体は対価性がないため消費税は不課税です。ただし課税事業者が「消費税込みの経費」に対して補助金を受けた場合、仕入税額控除との二重取り部分について、後日「消費税の返還」を求められる制度上の調整があります。交付要綱に「仕入控除税額の報告」の記載がないか確認してください。

Q. いつの収入として計上しますか?入金された日ですか?

A. 原則は「交付決定(金額が確定)した日」の属する年の収入です。年をまたぐ場合(12月に交付決定・翌年2月入金など)は、決定日ベースで未収入金を立てるのが正しい処理になります。ここは間違いやすいので年末採択の場合は特に注意してください。

Q. 自治体の営業時間短縮協力金や物価高騰支援金も同じ処理ですか?

A. はい、事業に関連して受け取る協力金・支援金も雑収入・不課税・課税所得という同じ枠組みです。「協力金は非課税」という誤情報が過去に広まりましたが、事業関連の給付は原則として所得税の課税対象です。

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