無料で使える公的サポートまとめ
飲食店の経営の悩みには、無料で使える公的サポートで相談できるものがたくさんあります。一人で悩んだり高額な民間サービスに申し込んだりする前に、まず公的な窓口を確かめましょう。税金で運営されている以上、使わないのはもったいない。目的別に整理します。
経営全般の相談
- よろず支援拠点(全都道府県)。国が設置した無料経営相談所。売上改善・資金繰り・販路など何でも、回数無制限で相談できます
- 商工会議所・商工会。地域の経営指導員による相談。持続化補助金の申請には関与が必須なので、早めに顔をつないでおくと一石二鳥です
コスト削減系
- 省エネ診断。専門家が店舗の設備・電気の使い方を診断し、削減額の見込みつきで対策を提案。省エネ設備投資の前に受けると、補助金申請の説得力も上がります
専門家の無料派遣・相談
- 専門家派遣制度。中小企業診断士・税理士などの専門家を無料〜低額で店舗に派遣してもらえる制度が、国・自治体にあります
- 日本政策金融公庫の創業相談。融資の申込前でも無料で相談できます。創業融資ガイドとあわせて
- 労働局・社労士会の助成金相談。キャリアアップ助成金など雇用系の要件確認に
使い方のコツ
公的相談は「答えをくれる場所」ではなく「壁打ちと情報の場所」と考えておくと、期待とのずれが起きません。決算書・メニュー表・悩みのメモを持参して具体的に聞くほど、得られるものが大きくなります。窓口での相談は無料なので、迷ったらまず予約しましょう。
早見表:どこに何を相談するか
| 窓口 | 得意分野 | こんなときに |
|---|---|---|
| よろず支援拠点 | 経営全般・売上改善 | 「何から相談していいか分からない」の最初の一歩 |
| 商工会議所・商工会 | 補助金申請・記帳・地域情報 | 持続化補助金を出したい、地域の制度を知りたい |
| 省エネ診断(省エネお助け隊等) | 光熱費削減 | 電気代が高い、設備更新を検討中 |
| 日本政策金融公庫 | 創業・追加の融資 | 開業資金・設備資金を借りたい |
| 労働局・社労士会の相談窓口 | 雇用・助成金・労務 | 雇用系助成金の要件確認、労務の整備 |
| 税務署・青色申告会 | 税金・記帳 | 確定申告、インボイスの実務 |
相談の持ち物チェックリスト
- □ 直近の確定申告書または決算書(数字がないと一般論しか返ってきません)
- □ メニュー表(価格・構成が分かるもの)
- □ 悩みを3行で書いたメモ(「売上が去年比◯%減」「電気代が月◯万円」など数字で)
- □ 聞きたいことリスト(時間は有限。優先順に)
準備の質が回答の質を決めます。言い換えれば、この4点を持って行くだけで、無料相談から有料コンサル級の答えを引き出せます。
各窓口の使い方をもう一歩詳しく
よろず支援拠点
各都道府県に1ヶ所以上。ウェブか電話で予約し、オンライン相談に対応する拠点も多数。何度でも無料・分野の縛りなしが最大の特徴で、「売上を上げたい」のような漠然とした相談から受け止めてくれます。相性の良いコーディネーターに出会ったら指名で通うのがコツです。
商工会議所・商工会
会員制ですが、経営相談は非会員でも受けられるのが一般的です。会費は地域により年1〜2万円程度で、記帳指導・共済・地域の情報網を考えると加入の価値は十分あります。持続化補助金では計画書の確認役として必ず関わるため、開業したら早めに一度顔を出しておくと後がスムーズです。
専門家派遣という「上級ワザ」
国・自治体には、中小企業診断士・税理士・社労士などの専門家を無料〜低額で数回、店に派遣してもらえる制度があります。窓口相談より踏み込んだ、自店の数字に基づく個別支援が受けられます。入口はよろず支援拠点か自治体の商工課で、「専門家派遣を使いたい」と伝えれば十分です。
年間の使い倒しプラン例
| 時期 | 使う窓口 | 目的 |
|---|---|---|
| 年明け〜2月 | 税務署・青色申告会 | 確定申告の準備・記帳の確認 |
| 春 | 商工会議所 | 持続化補助金など今年の公募方針を相談 |
| 夏 | 省エネ診断 | 電気代のピーク前に設備対策の当たりをつける |
| 秋 | 労働局・社労士相談 | 最低賃金改定に伴う賃金・助成金の確認 |
| 通年 | よろず支援拠点 | 売上・メニュー・販促の壁打ち(四半期に1回など定期で) |
行けない・行く暇がないへの答え
- オンライン相談。よろず支援拠点の多くがビデオ相談に対応。仕込みの合間の1時間で受けられます
- 電話・メール。初回の当たりづけなら電話で十分です。「飲食店で、〇〇に困っている。相談に乗ってもらえるか」の電話1本から始めましょう
- 定休日にまとめる。月1回の定休日に「よろず+商工会議所」を午前と午後で回る手もあります。移動を1日に固めるのが続けるコツです
「認定経営革新等支援機関」という言葉を覚えておく
補助金の公募要領を読んでいると出てくるこの長い名前は、国が認定した中小企業支援の専門家・機関(税理士・診断士・金融機関など)のことです。一部の補助金では「認定支援機関の確認書」が申請要件・加点になり、金融支援(経営改善計画の策定支援)でも登場します。顧問税理士がいるなら「うちは認定支援機関ですか?」と聞いてみましょう。いない場合も、中小企業庁のサイトで地域の認定機関を検索できます。
悩み別:3つの相談の流れ
- 「売上が落ちてきた。何から手をつければ?」 → よろず支援拠点で数字の棚卸し→メニュー・販促・立地の課題を特定→必要なら専門家派遣で深掘り、という流れが定番。初回相談から具体的な宿題が出るのが良い相談の証拠です
- 「持続化補助金を出したい」 → 商工会議所へ。計画書の様式確認と添削を受けながら仕上げるのが王道で、採択後の実績報告も相談できます
- 「バイトの労務関係が不安」 → 労働局の相談コーナーか社労士会の無料相談。雇用契約書・労働条件通知書の雛形はここで手に入ります
金額換算してみる: 無料相談の「時価」
同じ内容を民間で買うといくらか。民間の料金の目安を並べると、公的窓口の価値が数字で見えます。
| 経営コンサル顧問 | 月3万〜10万円 → よろず支援拠点なら0円・回数無制限 |
|---|---|
| 税理士の単発相談 | 1時間1万〜3万円 → 税務署・青色申告会の相談は0円(確定申告期は無料相談会も) |
| 中小企業診断士の派遣 | 1日5万〜10万円 → 専門家派遣制度なら0円〜数千円で3回程度 |
| 省エネコンサル診断 | 10万〜30万円 → 公的な省エネ診断は0円〜数万円(自治体の無料診断のほか、国の省エネ診断は自己負担1設備6,006円から) |
| 補助金申請サポート | 着手5万〜20万円+成功報酬10〜20% → 商工会議所の持続化補助金支援は0円 |
年間で使い倒せば20万〜50万円相当の専門支援が無料か少額で受けられるのが目安です。たとえば月商250万円・利益率8%の店なら、これは売上250万〜625万円分の利益に相当します。「相談はタダ」と知っているかどうかで、経営力に差がつきます。
相談を成果に変える5つの質問テンプレ
窓口で「何でも聞いてください」と言われて固まらないよう、どの窓口でも使える質問セットを持っていきましょう。
- 「うちの数字(持参した申告書)を見て、最初に手をつけるべき課題は何ですか」
- 「その課題に使える公的制度はありますか」
- 「同業でうまくいった事例はありますか」
- 「私が次回までにやるべきことを2つ挙げてください」
- 「この件はどの専門家に深掘りしてもらうのが適切ですか」
この5問を聞けば、初回相談から必ず「次の一歩」を持ち帰れます。
無料相談の限界も知っておく
- 実行はしてくれない。助言までが役割。手を動かすのは自分(またはお金を払って頼む専門家)です
- 担当者の当たり外れはある。合わなければ別の相談員・別の窓口へ。無料なのだから遠慮は不要です
- 申請代行はしない。書類作成の代行は有資格者の有償業務。無料窓口は「自分で書くのを支援する」立場です
- 緊急の資金繰りには向かない。今月の支払いが危ない局面では、金融機関と公庫への相談を先にしましょう。無料窓口は「次の一手」を考える場所です
専門家の種類:誰が何のプロか早見表
| 専門家 | 得意分野 | 飲食店の典型相談 |
|---|---|---|
| 中小企業診断士 | 経営全般・事業計画 | 売上改善、補助金の事業計画づくり |
| 税理士 | 税務・会計 | 確定申告、法人成り、圧縮記帳、インボイス |
| 社会保険労務士 | 労務・雇用系助成金 | 社保手続き、就業規則、キャリアアップ助成金 |
| 行政書士 | 許認可・申請書類 | 営業許可、深夜酒類提供届出、補助金の書類作成代行 |
無料窓口で課題を特定してから「この件は◯◯士へ」と進むのが効率的な順路です。逆に、最初から特定の専門家に行くと、その人の領域の解決策に寄る傾向があることは知っておいて損はありません。
行けない人へ:オンライン・電話でも完結できる
営業で日中動けない店主でも、よろず支援拠点の多くはオンライン相談・夕方枠に対応しています。また、地域の信用金庫も実は経営相談窓口です。融資の付き合いがある金融機関に「経営の相談に乗ってほしい」と言えば、本業支援の部署や提携専門家につないでくれる場合があります。どうしても時間が取れないなら、まず商工会議所のメール相談から始めるのでも十分です。
参考・出典
開業に使える制度は、どの地域に多いか
2026年10月19日時点で該当する280件を地域別に数えました。うち全国対象が37件で、これはどの地域の飲食店でも申請できます。残りは地域限定なので、自分の都道府県にあるかを先に見ましょう。
| 都道府県 | 該当する制度 | その地域の一覧 |
|---|---|---|
| 東京都 | 22件 | 東京都の飲食店向け制度 |
| 北海道 | 15件 | 北海道の飲食店向け制度 |
| 福岡県 | 15件 | 福岡県の飲食店向け制度 |
| 福島県 | 11件 | 福島県の飲食店向け制度 |
| 長野県 | 10件 | 長野県の飲食店向け制度 |
| 埼玉県 | 9件 | 埼玉県の飲食店向け制度 |
| 熊本県 | 9件 | 熊本県の飲食店向け制度 |
| 新潟県 | 8件 | 新潟県の飲食店向け制度 |
| 兵庫県 | 8件 | 兵庫県の飲食店向け制度 |
| 京都府 | 8件 | 京都府の飲食店向け制度 |
上限額が公表されている188件で見ると、中央値は200万円、最大は10億円です。下から4分の1は50万円以下なので、「小さく試す」規模の制度も含まれています。
直近の締切は令和8年度京都市小売店等における使い捨てプラスチック発生抑制…の2026年10月22日(あと3日)です。締切の並びは締切間近の制度でまとめて確認しましょう。
よくある質問
Q. 本当に無料ですか?何か売り込まれませんか?
A. よろず支援拠点・商工会議所・日本政策金融公庫・労働局などの相談窓口は、税金で運営される公的支援なので無料です。専門家派遣と省エネ診断は、無料の制度と一部に自己負担がある制度があるので、申し込む前に費用を確認しましょう。民間コンサルのような営業を受けることはありません。それが公的機関の存在意義です。
Q. 補助金の申請相談もできますか?
A. はい。商工会議所・よろず支援拠点は補助金の計画書作成の相談先として定番です。特に持続化補助金は商工会議所の関与が申請要件になっているため、いずれ関わることになります。
Q. 営業時間中しか窓口が開いていないのでは?
A. 窓口は平日日中が中心ですが、よろず支援拠点にはオンライン相談や夕方枠を設ける拠点もあります。ランチとディナーの間の14〜16時は、相談にちょうどよい時間帯です。定休日に2窓口をはしごする使い方もあります。
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公開 2026年7月19日 / 最終更新 2026年10月5日 / この記事は、公的機関が公開する一次資料をもとにホジョナビ編集部が作成したもので、執筆補助にAIを使用。金額・要件・締切は各制度の公募要領が常に優先。制作方針と情報源
更新履歴(1件)
- 専門家派遣と省エネ診断は一部に自己負担がある点に修正(国の省エネ診断は1設備6,006円から)、「すべて無料」などの断定を弱めた表現に修正、参考・出典を追加
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