飲食店版

飲食店の領収書:印紙・宛名・但し書き・再発行の実務ルール

2026年7月23日更新 / 飲食店主向けガイド

ナビコッコ
領収書まわりの質問で一番多いのは収入印紙。覚えるのは「5万円以上の現金払いに200円」と「キャッシュレスなら不要」の2つだけです。あとはこのページを開けばいい。

領収書は毎日発行するのに、印紙・宛名・再発行のルールを正確に知っている店は意外と少ないもの。間違えても大事故にはなりにくい領域ですが、印紙の貼り忘れは店側の税負担ですし、インボイス対応の不備は客(事業者)に迷惑がかかります。実務ルールを一枚にまとめました。

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収入印紙: 覚えるのは2つだけ

5万円以上の現金払い200円の収入印紙を貼り、消印(店の印やサイン)をする。5万円未満は不要
キャッシュレス払いクレジットカード払いなら金額にかかわらず印紙不要。その場合「クレジットカード利用」と領収書に明記する。QR・電子マネーも同様の扱いが実務の基本線
貼り忘れると本来の印紙税の3倍(自主申告なら1.1倍)の過怠税。負担するのは発行した店側
金額の判定税抜金額を区分記載していれば税抜額で判定できる。53,900円(税込)でも「本体49,000円・消費税4,900円」と書けば印紙不要になる——書き方で200円変わる実務ポイント

インボイス対応の記載事項(発行側)

  • 適格請求書発行事業者なら、領収書(簡易インボイス)に必要なのは: ①店名と登録番号(T+13桁)②取引日 ③内容(但し書き)④税率ごとの合計額 ⑤適用税率または税額
  • 飲食店は「適格簡易請求書」でよいので宛名は不要。レジのレシートが要件を満たしていれば、レシート自体がインボイスです
  • 手書き領収書で対応する場合は、登録番号のゴム印を作っておくと毎回書かずに済みます
  • 未登録(免税事業者)の場合は登録番号を書かない。書けるのは登録事業者だけで、虚偽記載は罰則対象です。登録判断はインボイスガイド

但し書きの書き方

  • 「お品代」は避けて「飲食代として」「宴会飲食代として」と実態を書くのが親切。受け取る側の経費処理で内容が問われるためです
  • テイクアウトと店内飲食が混在する会計は税率が分かれる(8%/10%)ので、レシート型なら自動区分、手書きなら税率ごとに金額を分けて記載します

再発行・分割・日付の実務

再発行義務なし・原則断ってよい。応じるなら「再発行」と明記。悪用(二重精算)の片棒を担がないための自衛です
分割発行割り勘の実態に合わせた分割はOK。印紙逃れ目的の形式的分割はNG
日付実際の支払日を書く。「日付を空欄で」「先月の日付で」という依頼は断る。応じると店が不正の共犯になります
金額の改ざん防止手書きは金額の頭に「¥」末尾に「−」や「※」。数字の前後に隙間を作らない

印紙の実務こまごまQ&A

  • どこで買う? — 郵便局・法務局・コンビニ(200円券はたいてい在庫あり)。レジに5〜10枚常備しておくと宴会シーズンに慌てません
  • 消印のやり方 — 印紙と書面にまたがるように店の印鑑(またはボールペンのサイン)。割り印用のシャチハタで十分です
  • 貼り忘れに気づいたら — 自主的に税務署へ申し出れば過怠税は1.1倍で済みます(指摘されると3倍)。「気づいた時が最善のタイミング」の典型
  • 間違えて貼った・書き損じた — 未使用の印紙は郵便局で交換(手数料あり)。貼ってしまった書き損じ文書は税務署で還付請求できます
  • 電子領収書・PDF発行なら? — 印紙税は「紙の文書」への課税なので、電子発行なら金額にかかわらず印紙不要。高額宴会が多い店がレシート・電子化に寄せる隠れた理由のひとつです

受け取る側としての領収書(自店の経費)

  • 経費の証拠はレシートで十分です。手書き領収書より品目が印字されたレシートの方がむしろ証拠力が高い、が税務の実務感覚
  • もらい忘れ・出ない支出(自販機・祝儀等)は出金伝票で記録すれば経費にできます(日付・相手・目的・金額)
  • 保存期間は原則7年。月別封筒にざっくり放り込む方式でも、揃ってさえいれば戦えます

電子帳簿保存法: 飲食店に関係する部分だけ

  • 電子で受け取ったものは電子のまま保存——ネット仕入れのPDF請求書・メール添付の領収書は印刷保存でなくデータ保存が原則です(検索できる形でフォルダ保存+改ざん防止の事務処理規程が現実的な対応)
  • 紙でもらった領収書は紙のままでOK(スキャナ保存は任意)
  • 会計ソフトのレシート撮影機能を使えば、この辺りの要件対応ごと自動化されます。確定申告ガイド参照

手書き領収書の記載例(インボイス対応版)

領収書

〇〇株式会社 様

¥16,500−(税込)
但し 飲食代として
(10%対象 15,000円 消費税1,500円)

2026年〇月〇日
居酒屋ほじょなび T1234567890123
東京都〇〇区〇〇 1-2-3 ☎03-0000-0000

この形なら簡易インボイスの要件を満たします。ゴム印3点セット(店名住所印・登録番号印・「クレジットカード利用」印)を作っておくと、手書き運用でも1分で発行できます。

キャッシュレス決済と領収書の関係

  • カード・QR払いの客に「領収書ください」と言われたら: レシート(利用明細つき)を渡すのが基本。手書きで発行する場合は「クレジットカード利用」と明記(印紙不要の根拠にもなる)
  • 決済アプリ側の電子明細があるため、二重精算防止の観点でも「キャッシュレスはレシートで」の運用が安全です
  • 決済端末とレジが連動していれば、金額の打ち直しミス(領収書と決済額のズレ)も構造的に消えます(キャッシュレス導入ガイド

レジ締めと領収書の突き合わせ

手書き領収書を発行したらレシートと二重にならない運用を決めておきましょう(レシートを回収する/控えに「レシート回収済み」と書く等)。レジの売上と領収書発行額がズレる店は、税務調査で説明に苦労します。毎日のレジ締めの型は棚卸しガイドの月次ルーティンとセットで整えるのがおすすめです。

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よくある質問

Q. 宛名は「上様」でもいいですか?

A. 発行する側としては、求められれば「上様」でも発行自体は可能です。ただし受け取る側の経費処理では宛名が空欄や上様だと税務上の証拠力が弱くなるため、「正式な社名でお願いします」と言われたらその通りに書くのがスムーズです。小売業・飲食店業では宛名のないレシートも税務上有効とされています。

Q. 領収書の再発行を求められました。応じるべきですか?

A. 義務はなく、原則は断って構いません(二重計上・不正利用のリスクがあるため)。応じる場合は「再発行」と明記し、日付・金額を元の取引通りに記載します。紛失時は「支払証明書」の形で対応する店もあります。

Q. 会計を2枚に分けて領収書を発行するのは問題ないですか?

A. 実際の支払いを人数や会社ごとに分けて発行するのは問題ありません(割り勘の各自払いなど)。一方、印紙税を逃れる目的だけで5万円以上の1つの支払いを分割発行するのは認められません。実態に沿った発行が原則です。

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