飲食店版

まかないは経費になる?従業員のルールと店主の自家消費の違い

2026年10月3日更新 / 飲食店主向けガイド

ナビコッコ
まかないの税務、実は「従業員に出す」と「自分が食べる」で全く別の話です。前者はルールを守れば福利厚生、後者は経費どころか売上計上。ここを混ぜると帳簿がぐちゃぐちゃになります。

まかないの税務は、飲食店の帳簿で最も「なんとなく」処理されている領域です。しかも従業員に出すまかないと店主が自分で食べるまかないで、ルールが全く違います。この2つを分けて整理すれば、迷うことはなくなります。

?

この記事に関係する制度、目的を選ぶだけで10秒診断

選ぶとその場で診断が実行されます。結果画面で地域を足すとさらに絞り込めます / 無料・登録不要

従業員のまかない: 非課税にする2条件

従業員へのまかないは、条件を満たさないと「現物給与」、つまり給与課税の対象になります。非課税で出すための条件は次の2つで、両方を満たす必要があります。

条件①従業員が食事価額の半分以上を負担している
条件②店側の負担が1人あたり月7,500円(税抜)以下。2026年4月1日以後に出す食事に使う金額で、それより前は月3,500円
食事価額とはその食事の材料費等の実費。売価ではない。まかない1食の材料費250円なら、従業員から130円徴収し、店負担120円×月22回=2,640円で両条件クリア
外すとどうなる店負担分(条件を満たさない場合は食事価額と徴収額の差額)が給与扱い。源泉徴収の対象になり、年末調整のやり直し要因になる。社会保険の報酬に入るかどうかは、所得税とは別の基準で決まる(下の「社会保険は別の基準」の節)

計算例: 250円まかないの設計

  • 1食の材料費: 250円 / 従業員負担: 130円(半額以上✓)/ 店負担: 120円
  • 月22シフトの従業員: 店負担 120×22=2,640円 ≦ 7,500円✓ → 非課税で成立
  • もし「無料まかない」にすると: 250×22=5,500円/月が給与扱いになります。時給換算ではわずかでも、帳簿と源泉の手間が大きく増えるのが実務で困るところです
  • 徴収は給与天引きが楽です(給与明細に「食事代」控除を1行立てる)。現金で徴収するなら記録を残しましょう

社会保険は別の基準: 告示価額の3分の2

ここまでの2条件は所得税のルールです。健康保険・厚生年金の保険料を決める報酬では、食事を厚生労働大臣が告示する都道府県別の価額で評価します。本人負担が告示価額の3分の2以上なら現物給与はないものとして扱い、3分の2未満なら告示価額から本人負担を引いた額が報酬に入ります。

  • 東京都の2026年4月からの告示価額は昼食1食300円(1か月25,500円)で、その3分の2は200円です
  • 130円徴収の場合: 200円に届かないので、(300円−130円)×22=月3,740円が報酬に加わります。所得税はかからなくても、社会保険の報酬には入ります
  • 200円徴収にした場合: 社会保険では現物給与なしの扱いです。所得税も、材料費250円の半額以上で店負担50×22=1,100円なので非課税のままです
  • 告示価額は都道府県ごとに違い(昼食は280〜310円)、健康保険組合が別に定めている場合もあります。社会保険に入っていないアルバイトには関係しません。加入者がいる店は、日本年金機構の一覧で自分の都道府県の額を確かめましょう

従業員まかないの仕訳例

  • 材料は仕入に含まれているので、月末にまかない分を振り替えます。(借方)福利厚生費 2,640 /(貸方)仕入 2,640(店負担分)。家事消費は店主や家族が食べた分に使う科目なので、従業員分には使いません
  • 従業員からの徴収分: (借方)現金(or 預り金経由)2,860 /(貸方)雑収入 2,860
  • 厳密な振替が負担なら「1食あたり標準材料費×提供数」の月次概算で継続して処理するのが現実的です

店主本人のまかない: 経費ではなく「自家消費」

個人事業主本人(と生計を一にする家族)が食べた分は、経費にならないだけでなく、売上(自家消費)として計上する必要があります。

  • 計上額: 通常の販売価額の70% か 仕入価額の、いずれか高い方(所得税の実務基準)
  • 例: 店主が毎日1食、材料費300円相当・売価900円のまかないを食べる場合 → 900×70%=630円 > 仕入300円なので、1食630円×月26日=月16,380円を自家消費売上に計上するのが原則です。ただし「まかない」は商品と同じではない簡易な食事であることが多く、実務では材料実費をもとにした合理的な金額で計上する例も多くあります。金額が大きくなる店は、税理士に基準を決めてもらうのが安全です
  • 仕訳: (借方)事業主貸 /(貸方)自家消費(家事消費売上)
  • 「自分の飯くらいで細かい」と思うかもしれませんが、現金商売の税務調査で自家消費の計上漏れは定番の指摘項目です。月次で機械的に計上する型を作っておけば、調査に強くなります

税務調査でのまかない論点: 記録があれば5分で終わる

  • 現金商売の飲食店の調査では、自家消費の計上漏れとまかないの現物給与認定が定番の確認項目です
  • 調査官が見るのは整合性です。従業員数×営業日数に対してまかない計上が極端に少なくないか/店主の食事が全く計上されていないのは不自然ではないか
  • 対策は簡単で、「1食◯円×月◯食」の月次計上メモが残っていれば説明は5分で終わります。逆に記録ゼロだと推計課税(調査官側の概算)を受け入れる流れになりがちで、たいてい実際より高くつきます
  • 過去分をやっていなかった場合も、今月から型を作れば「以後は適正」の姿勢が示せます。過去を完璧にそろえるより、今の記録を続けるほうが大切です

法人(会社)の場合の違い

  • 法人成りすると社長も「役員=従業員側」になるため、上の半額負担+7,500円ルールを社長にも適用できるようになります。まかない税務は法人の方がシンプルというのは意外と知られていません(法人成りの検討材料のひとつ)

導入・見直しのチェックリスト

  • ☐ 1食あたりの標準材料費を計算したか(主要まかない3パターンの平均でよい)
  • ☐ 徴収額は半額以上か。店負担×想定シフト数が月7,500円以内に収まるか
  • ☐ 社会保険の加入者がいる場合、徴収額が告示価額の3分の2以上か(届かない差額は報酬に入る)
  • ☐ 給与明細に「食事代」控除の行を作ったか(天引きが一番漏れない)
  • ☐ 店主・家族の分は自家消費の月次計上を仕訳の型にしたか
  • ☐ 求人票・面接資料の「まかない」表記を実態と揃えたか

まかないと廃棄ロスの帳簿上の違い

  • 廃棄した食材。仕入に含まれたまま売上原価になるので、自然に経費になります。別途の仕訳は不要ですが、廃棄記録(日付・品目・理由のメモや写真)を残すと、原価率を説明しやすくなります
  • まかないに転用した食材。上で見た通り、従業員分は福利厚生費へ振り替え、店主分は自家消費として売上に計上します。「廃棄予定品をまかないで消費」も理屈は同じです(評価額は実態に応じて低くてよい)
  • この区別が曖昧だと、原価率が実際より悪く見え、値付け・ロス対策の判断が狂います。棚卸しとセットで月次の型に入れましょう

まかないは採用の武器: ルール内で映えさせる

  • 「まかない付き」は飲食バイト求人で最も反応の良い条件のひとつです。130円徴収のまかないは所得税の非課税ルールを満たしつつ、求人票には堂々と「まかない有(1食130円)」と書けます
  • 逆に「食事手当を現金で支給」は全額給与課税なので、同じ予算なら現物のまかないの方が従業員の手取りの面でも得です。制度設計ひとつで採用力と税務が両立します(人手不足対策ガイド)
  • 写真映えするまかないは、SNSでの採用に意外と役立ちます。「今日のまかない」投稿は店の雰囲気を伝える定番コンテンツです

パターン別早見表: あなたの店のまかないはどれ?

130円徴収(材料費250円)◎ 所得税の非課税の王道。半額以上負担+月7,500円以内の両条件を満たす設計。社会保険の加入者は、告示価額の3分の2(東京都の昼食なら200円)との差額が報酬に入る
無料まかない△ 全額(材料費相当)が現物給与。源泉・社保算定に響き、事務負担増
現金で食事手当5,000円✗ 全額給与課税。非課税枠は現物の食事のみ
営業後の残り物を自由に△ 実態は現物支給。廃棄予定品なら評価額は低くてよいが、「ゼロ円」と言い切るなら廃棄記録とセットで
店主が自分で食べる要注意。経費でなく自家消費として売上計上(本文参照)

スタッフへの説明テンプレ: なぜ130円取るのか

「まかない代を取るなんてケチ」と誤解されないよう、採用面接や導入時にはこう説明しましょう。

「まかないは1食130円だけもらう決まりにしています。無料にすると税金のルール上、まかない代が給料扱いになってみんなの所得税の計算がややこしくなるんです。130円払ってもらうと所得税はかかりません。原価250円くらいのまかないなので、130円で食べられるのは悪くない話だと思います」

この一言で、制度の受け止められ方が「ケチ」から「合理的な設計」に変わります。求人票にも「まかない有(1食130円・非課税設計)」と書けば、「分かっている店」という印象までおまけでついてきます。社会保険に入っているスタッフがいる店では、130円だと差額が保険料の計算に入るので、徴収額は告示価額の3分の2以上(東京都なら200円以上)にそろえましょう。

実務の型: 月次5分で終わらせる

  • ① 1食あたりの標準材料費を決める(年1回見直し)
  • ② シフト表から月のまかない提供数を数える(従業員別)
  • ③ 従業員分: 徴収額と店負担を計算して仕訳1本 / 店主分: 自家消費を仕訳1本
  • ④ 給与明細の食事代控除と突き合わせ
  • この4行をやっている店は、まかない税務で困ることはまずありません。所要時間は電卓とシフト表があれば5分、会計ソフトの仕訳テンプレに登録すれば2分です

参考・出典

設備投資に使える制度は、どの地域に多いか

2026年10月19日時点で該当する364件を地域別に数えました。うち全国対象が49件で、これはどの地域の飲食店でも申請できます。残りは地域限定なので、自分の都道府県にあるかを先に見ましょう。

上限額が公表されている262件で見ると、中央値は100万円、最大は10億円です。下から4分の1は30万円以下なので、「小さく試す」規模の制度も含まれています。

直近の締切は【第3回】令和8年度 海外展示会出展支援補助金の2026年10月21日(あと2日)です。締切の並びは締切間近の制度でまとめて確認しましょう。

よくある質問

Q. 従業員に無料でまかないを出すとどうなりますか?

A. 食事の価額全額が従業員への現物給与扱いとなり、給与として源泉徴収の対象になります。非課税にするには「従業員が食事価額の半分以上を負担」かつ「店側の負担が月7,500円(税抜)以下」の2条件を満たす必要があります(2026年4月1日以後に出す食事の金額で、それより前は月3,500円)。社会保険の報酬は、都道府県別の告示価額をもとに別の基準で判定します。

Q. 店主(個人事業主)本人が食べるまかないは経費ですか?

A. 経費にならないどころか、使った食材は「自家消費」として売上に計上する必要があります。金額は通常の販売価格の70%か仕入価格のいずれか高い方で計上するのが所得税の実務です。本人の食事は事業の経費ではなく生活費、というのが税務の原則です。

Q. まかないの価額はどう決めればいいですか?

A. 「その食事を作るのに要した材料費等の実費」で評価します。売価ではありません。実務では1食あたりの標準材料費(例: 250円)を決めて、提供数×単価で毎月計算する方式が現実的です。

Q. まかないの代わりに食事手当を現金で払うのはどうですか?

A. 現金支給の食事手当は、深夜勤務者の夜食代わりに1回650円以下を渡す場合を除き、全額が給与課税の対象です。非課税の枠が使えるのは現物の食事だけなので、同じ予算なら現物まかない+一部徴収の設計の方が、従業員の手取りでも店の事務でも有利になります。

Q. 夫婦2人だけで営業しています。まかないの論点はありますか?

A. 従業員がいなければ現物給与の論点はなく、残るのは自家消費だけです。店主本人と生計を一にする配偶者が食べた分を、月次で自家消費として売上計上する型を作れば完了です。青色事業専従者として給与を払っている配偶者も生計を一にする家族なので、従業員まかないの2条件をそのまま当てはめられるとは限りません。専従者給与が経費になるのは届出書に書いた金額と支払い方法の範囲内だけなので、配偶者の食事の扱いは税理士か税務署に確かめましょう。

同じテーマのガイド

実際に使える制度を探す

公開 2026年7月21日 / 最終更新 2026年10月3日 / この記事は、公的機関が公開する一次資料をもとにホジョナビ編集部が作成したもので、執筆補助にAIを使用。金額・要件・締切は各制度の公募要領が常に優先。制作方針と情報源

更新履歴(1件)
  • まかないの非課税限度額を月3,500円から月7,500円(2026年4月以後)に更新、社会保険では都道府県別の告示価額の3分の2が基準になる点を追記、参考・出典を追加
  • 公開