飲食店版

看板の設置・改修に使える補助金と、見落としがちな許可・点検義務

2026年10月5日更新 / 設備投資と補助金の飲食店向けガイド

ナビコッコ
看板は「作る前」に役所です。屋外広告物の許可を知らずに設置すると、撤去命令を受けて作り直しになることがあります。補助金より先に、この許可の存在だけ覚えて帰りましょう。

看板は飲食店の販促投資の中で最も古典的で、そして補助金の計画に入れやすい経費のひとつです。「新規客の獲得=販路開拓」という補助金の王道の筋書きに、説明なしで当てはまるからです。ただし看板には許可・点検・撤去という「お金の裏側」があり、ここを知らないと、補助金で得した分がまるごと消えてしまいます。

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まず相場観:看板の種類と価格帯

スタンド看板(A型・電飾)3万〜15万円。手軽だが、歩道など道路上に置くことは原則として認められない。店の敷地内に置く
袖看板(突出し看板)15万〜50万円。ビルの2階以上の店の生命線。設置は許可必須クラス
ファサード(正面)看板30万〜150万円。店の顔。デザイン・素材・照明で幅が大きい
既存看板のLED化10万〜30万円。電気代削減+明るさ改善。省エネ文脈にも乗る
撤去・処分5万〜30万円。高所作業車が必要だと跳ね上がる。閉店時・改修時の隠れコスト

使える補助金の型

販路開拓型本命。持続化補助金で「看板の刷新による新規客獲得」はチラシと並ぶ定番。デザイン費・製作費・設置工事まで一式で広報費に計上できる。ただし一般型(第20回)は広報費の補助額が30万円(税込)までで、広報費だけの申請はできない
商店街・ファサード型自治体・商店街振興組合の「店舗魅力向上」「ファサード整備」補助。地域限定で、補助率・上限は自治体ごとに違う。商店街エリアの店は必ず確認
省エネ型内照式看板のLED化を省エネ改修の一部として乗せる型。看板単体では弱く、照明・空調とセットで
撤去補助型老朽・危険な屋外広告物の撤去補助。攻めではなく守りの制度だが、建て替え時には数十万円の価値

計算例:ファサード刷新80万円を持続化補助金で

  • 投資額:デザイン+製作+設置=80万円
  • 補助率2/3なら計算上は約53万円。ただし一般型(第20回)では看板は広報費に当たり、広報費の補助額は30万円(税込)が上限です。補助は30万円、自己負担50万円になります
  • 広報費だけの申請はできないため、看板とは別の経費も同じ計画に入れます。補助額の上限は通常枠で合計50万円です(インボイス特例・賃金引上げ特例で上乗せあり)
  • 効果の考え方:前を通る人の入店率(例:1日300人通行×入店率1%→1.5%)が0.5ポイント上がると、1日1.5人増、客単価1,000円×月26日で月約4万円の売上増。回収は売上でなく粗利で見ます。仮に原価率30%なら粗利の増加は月約2.7万円で、自己負担50万円の回収には1年半ほどかかる計算です
  • 申請書では「誰に見せる看板か」(通行人・車・観光客)と「何が変わるか」(視認距離・夜間の明るさ・業態の伝わりやすさ)を数字で書くと通りやすくなります

看板の「お金の裏側」:許可・点検・撤去

  • 屋外広告物の許可。一定サイズ以上の看板は条例上の許可制(手数料数千円〜、更新制)。景観地区では色・大きさの制限も。無許可は撤去命令の対象。見積もり時に「許可申請込み」を必ず確認
  • 点検義務。落下事故を受けて、許可の更新時に安全点検の結果の報告を求める自治体があり、国土交通省も安全点検の指針(案)を作っている。点検費は目安で年1万〜3万円
  • 道路へのはみ出し。スタンド看板やのぼりを歩道など道路上に置くことは、国道事務所の案内でも祭礼などの一時的なものを除いて認められていません。置くなら店の敷地内です。商店街ルールも別にあるので、周囲の店にも確認しましょう
  • 撤去費の積み立て。看板は「作って終わり」ではなく、退去時に撤去義務があります。原状回復費の一部として頭に入れておく

よくある誤解

  • 「目立てばいい」。飲食店の看板で一番大事な情報は「何屋か・営業中か・価格帯」。おしゃれなロゴだけの看板は、知らない人には空きテナントに見えます
  • 「デザイン費は対象外」→ 制度によります。持続化補助金では看板のデザイン・製作費は広報費として計上できるのが一般的(一般型第20回は広報費の補助額が30万円まで)。見積もりはデザイン・製作・設置を分けてもらうと申請が楽
  • 「LED化は電気代のためだけ」。蛍光灯の内照看板は年数で暗くなり、夜の視認性が大きく落ちています。LED化は集客改善でもあります

勝てる看板の中身:3秒で3つ伝える

補助金で作り直すなら、デザイン以前に「何を書くか」で成果が決まります。前を歩く人が看板を見るのは、目安で3秒ほど。その短い時間で伝えるべきは3つだけです。

  1. 何の店か。業態名を最大の文字で。「Trattoria〜」のような店名だけの看板は、初めての客には何の店か読み取れません。「イタリアン」「定食」「らーめん」と日本語で大きく
  2. いくらの店か。「ランチ900円〜」の一行があれば、入店をためらう気持ちが消えます。価格が見えない店は「高いかもしれない店」として素通りされます
  3. 今やっているか。営業中の札・点灯・のれん。夜に真っ暗なファサードは「閉店」と同じ意味に読まれます

この3点を満たした上で、看板メニューの写真を1枚。写真は「料理単品のアップ」が正解で、店内風景よりも入店のきっかけに直接つながります。

夜は別の店になる:照明の費用対効果

昼に完璧な看板も、照明がなければ夜は存在しないのと同じです。ファサード照明・電飾看板の追加は10万〜30万円、LED化すれば電気代は1日数十円レベル。夜営業の店にとって、照明は看板本体より費用対効果が高いことが多く、持続化補助金の計画でも「夜間の視認性改善」として素直に書けます。設置後は、日が暮れてから道の反対側に立って、自分の店がどう見えるかを確かめましょう。

依頼から設置までの時間軸

1. デザイン・見積もり2〜3週間。相見積もり2社。データ入稿なら安く、デザイン込みなら+3万〜10万円
2. 許可関係屋外広告物の許可・道路占用(突き出し看板)が必要な場合+2〜4週間。業者が代行してくれるか確認
3. 補助金の交付決定待ち制度に乗せるならここまで発注しない。1〜3ヶ月
4. 製作・設置2〜4週間。設置自体は半日〜1日

申請書に書ける「効果測定」の仕込み

持続化補助金は事後の実績報告で「効果」を聞かれます。看板は効果測定が難しい販促の代表なので、設置前に測る仕組みを用意しておくと報告が楽になり、次回の申請の実績にもなります。

  • 設置前の1週間、新規客に「何を見て来たか」を聞く。レジ横の正の字メモで十分。設置後の同じ調査と比べれば、それが効果測定です
  • Googleビジネスプロフィールの「経路検索数」。看板で店を知り、後日マップで検索する、という流れは数字に出ます。無料で見られる指標なので、設置月の前後を記録しておきましょう
  • 看板メニューを1品決めておく。看板に載せた品の出数変化は、最も直接的な効果の証拠になります

看板以外の「見せる販促物」の相場と補助対象性

持続化補助金の申請では、看板単体より「店頭まわり一式」で計画を組むほうが自然で通りやすくなります。よく組み合わせる小物の相場感です。

のぼり・タペストリー1枚2,000円〜1万円。消耗品扱いになる制度もあるため、単体でなく販促一式の一部として計上
メニュー看板・置き型メニュー2万〜10万円。「価格帯が外から分かる」は入店率に効きやすい改善で、費用対効果は大型看板以上のことも
デジタルサイネージ10万〜50万円。日替わりメニュー・多言語表示の切り替えが強み。IT要素はあるが、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の通常枠はハードウェアが対象外なので、機器代は持続化補助金などで考える
店頭ライトアップ5万〜20万円。夜営業の店の「やってるか分からない問題」を解決。省エネLED前提で

組み合わせの考え方はシンプルで、「遠くから気づかせる(袖看板)→ 前で止める(ファサード・ライト)→ 入る理由を与える(メニュー看板・価格)」の3段が揃っているかで店頭を点検しましょう。どこが欠けているかが、そのまま申請書の「課題」欄になります。

申請前チェックリスト

  • ☐ 設置場所は屋外広告物の許可対象か、業者に確認したか
  • ☐ 商店街・ファサード系の自治体補助がないか確認したか → 下の募集中リスト
  • ☐ 見積もりはデザイン・製作・設置・許可申請を分けて取ったか
  • ☐ 「誰に・何を伝える看板か」を一文で言えるか(申請書の核になる)
  • ☐ 交付決定前に発注しない段取りか(申請の流れ)
  • ☐ 設置後に見る指標(通行客数に対する入店率、新規客の来店きっかけ)を決めた
  • ☐ 屋外広告物条例の届出が必要な地域・サイズかを自治体に確認した
  • ☐ 看板(広報費)のほかに、計画に入れる経費があるか確認した
  • ☐ 夜間の視認性(照明・電源の位置)を現地で確認した

参考・出典

いま募集中の関連制度

データベースの募集中制度から、看板に関連しうる制度が1件見つかりました(2026年10月19日時点・毎朝自動更新。対象経費に含まれるかは必ず公募要領で確認しましょう):

対象か要確認

【長野県茅野市】消費喚起イベント事業補助金

茅野市内の複数事業者グループによる消費喚起イベント開催費を補助。個人・単独飲食店は対象外。

地域: 長野県 上限: 40万円 締切: 2029年3月31日

開業に使える制度は、どの地域に多いか

2026年10月19日時点で該当する71件を地域別に数えました。うち全国対象が7件で、これはどの地域の飲食店でも申請できます。残りは地域限定なので、自分の都道府県にあるかを先に見ましょう。

上限額が公表されている45件で見ると、中央値は100万円、最大は5億円です。下から4分の1は30万円以下なので、「小さく試す」規模の制度も含まれています。

直近の締切は【募集期間延長】「さかいでからはじめる創業支援補助金」の募集…の2026年10月30日(あと11日)です。締切の並びは締切間近の制度でまとめて確認しましょう。

あわせて確認したい定番制度

よくある質問

Q. 看板に使える補助金の定番はどれですか?

A. 小規模事業者持続化補助金です。看板は「新しいお客様を獲得するための販路開拓」の最も分かりやすい経費として、チラシと並ぶ定番中の定番です。ただし一般型(第20回)では、看板やチラシを含む広報費の補助額は30万円(税込)までで、広報費だけの申請はできません。加えて、商店街の店舗魅力向上・ファサード整備の自治体補助が地域によって出ます。

Q. 古い看板の撤去にも補助金は出ますか?

A. 出る自治体があります。老朽化した看板の落下事故対策として、危険な屋外広告物の撤去・改修費を補助する制度が各地にあります。「(自治体名) 屋外広告物 撤去 補助」で確認する価値があります。

Q. 看板の設置に許可は必要ですか?

A. 多くの場合必要です。一定の大きさ・設置方法の看板は、都道府県・市の屋外広告物条例に基づく許可(申請手数料数千円〜)が要ります。景観地区ではデザインの制限もあります。無許可設置は撤去命令の対象になるため、制作業者に「許可申請込みで」と依頼するのが安全です。

他の設備の補助金

公開 2026年7月20日 / 最終更新 2026年10月5日 / この記事は、公的機関が公開する一次資料をもとにホジョナビ編集部が作成したもので、執筆補助にAIを使用。金額・要件・締切は各制度の公募要領が常に優先。制作方針と情報源

更新履歴(1件)
  • 看板は広報費として第20回から補助30万円まで・単独申請不可である点を追記、計算例を自己負担50万円・回収約1年半に修正、歩道へのスタンド看板設置は原則認められないと修正
  • 公開